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押忍!!

第1章 押忍!!

 僕はなにも答えられず、恐怖で額に脂汗を滲ませながら、先輩の顔を見ているしかなかった。

 やがて、先輩は下を向いてため息を吐いた。

「そうだよな。突然言われてもなにも答えられないよな」

 そう言う問題ではない。だが、その言葉で、少し恐怖から離れられたような気がした。

 しかし、先輩の性格は蛇だ。しつこい。なんとか、気をそらさなければ……。

「はい……急だったんで驚きました……でも、僕はまだ空手では結果を出していません。まずは、空手を一生懸命やっていきたいなと……」

「うん、そう思って、次のアピールを考えてきた」

 小出しにしないで、一度に披露してほしい。そうでなければ、命がもたない。

 すると、先輩はカバンからスマホを出し、なにか操作をしてから、それを棚に置いた。

「俺の告白、本気編を今から録画して、これをツインスタブックに載せようと思う」  

「えっ!! それ、僕も顔が出るんですか?」

「そうだ。俺の恋人だと自慢したいからな」

 やめてくれと言いたいが、ハッキリと言えない。言うと怖い。

 怒らせて先輩の一撃を喰らったら、秘孔を突いていないにもかかわらず、僕の頭は粉砕されてしまう。

 破壊力だけの北斗真拳を目の前にしては、ますます逃げられない。 

 僕はジワリジワリと、スマホのカメラから顔を背けるように動いた。

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