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押忍!!

第1章 押忍!!

「それに北都よ。俺はお前の好みのタイプを知っているんだ」

「なんですか?」

「メガネっ娘だろ」

「えっ!」

「知ってるんだよ。それも用意してきたんだ」

 一人で勝手に話を進めて、僕の好みを決めつけている。

 正直、メガネっ娘が好きなんて言ったことが……


 あった。


 思い出した。

 そうだ、いつだったか、先輩が「お前の好きな女のタイプはどんなやつだ?」と聞いてきたことがあった。

 僕は好きな女子のタイプなんて考えたことがなかった。大人しく可愛い子ならいいかとは、思っていたんだけど、もっと具体的に言った方がいいかと思って……とっさにクラスのメガネをかけた委員長を思い出した。別に好きなタイプじゃないんだけど、なんとなく「メガネをかけた娘ですかね」と言ってしまった。

 それを信じちゃったんですか?

 それは嘘なんですよぉ……メガネなんて、どうでもいいんです。

 先輩は「どうだ」と言わんばかりに、カバンからメガネケースを出した。

 なんだろう、嫌な予感しかしてこない。

 先輩……どこで買ってきたのかわからないような、ピンクの縁のハート型になったメガネをかけないでくれぇっ!!

 逆にそんなもんかけてるプリティな娘がいたら、ドン引きするよ!!

 先輩を見てたら、メガネを手にしたゴリラが遊んでいるようにしか見えない。

「これでどうだ、北都!!」

 言葉と容姿のギニーピッグ。

 精神を解体されていくようだ。

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