
愛してるって言って!
第4章 【その愛に中毒を起こす】
美術館はそろそろ閉館の時間だ。空は晴れて、たくさんの星が出ているが、空気が澄みわたっていてひどく寒い。
静矢は自分のデスクに戻ると、パソコンを開き、書類作成を始めた。さっさと終わらせて忍を迎えに行きたいのに、自分でも驚くほど、まるで身が入らない。さぁ、集中!と思い直しても、気が付くとまた、ボーっと忍の事を思い出してしまう。
何やってんだ、俺は…。
抱えた頭の中に、ふと、茜の言葉が過って行く。
「大丈夫。私が死んでも、ちゃんと愛してくれる人が、静矢くんにはいるから」
静矢は、忍と何度も身体を重ねるうち、それが忍だったらいい、と思うようになった。
忍に愛していると伝え、忍の心までもが静矢だけのものになってくれたとしたら、それはきっと幸せに違いない。けれど、その愛を失えば必ず、そこに深く大きな傷跡を残していく事を、静矢は知っている。愛する気持ちと、失った時の傷の大きさは必ず比例するのだ。
静矢は忍が好きだ。今では茜の代わりではなく、忍という一人の男を、静矢は確かに愛している。それはちゃんと自覚できてもいる。それに今、体だけを重ねるこの曖昧な関係は、静矢にとってそうであるように、忍にとってもまた、本望ではないのかもしれない。
けれどもうこれ以上、何かを失いたくない。愛していると気付いたからこそ、忍を失うのが怖い。
そして、その想いを募らせ、堪らなくなって、またつい静矢は忍の体を求めてしまう。
忍を想う気持ちよりも、傷つけ、失う事への恐怖が大きくなる事で、それは静矢の淫欲に取って代わり、理性を壊していたのだった。
静矢は自分のデスクに戻ると、パソコンを開き、書類作成を始めた。さっさと終わらせて忍を迎えに行きたいのに、自分でも驚くほど、まるで身が入らない。さぁ、集中!と思い直しても、気が付くとまた、ボーっと忍の事を思い出してしまう。
何やってんだ、俺は…。
抱えた頭の中に、ふと、茜の言葉が過って行く。
「大丈夫。私が死んでも、ちゃんと愛してくれる人が、静矢くんにはいるから」
静矢は、忍と何度も身体を重ねるうち、それが忍だったらいい、と思うようになった。
忍に愛していると伝え、忍の心までもが静矢だけのものになってくれたとしたら、それはきっと幸せに違いない。けれど、その愛を失えば必ず、そこに深く大きな傷跡を残していく事を、静矢は知っている。愛する気持ちと、失った時の傷の大きさは必ず比例するのだ。
静矢は忍が好きだ。今では茜の代わりではなく、忍という一人の男を、静矢は確かに愛している。それはちゃんと自覚できてもいる。それに今、体だけを重ねるこの曖昧な関係は、静矢にとってそうであるように、忍にとってもまた、本望ではないのかもしれない。
けれどもうこれ以上、何かを失いたくない。愛していると気付いたからこそ、忍を失うのが怖い。
そして、その想いを募らせ、堪らなくなって、またつい静矢は忍の体を求めてしまう。
忍を想う気持ちよりも、傷つけ、失う事への恐怖が大きくなる事で、それは静矢の淫欲に取って代わり、理性を壊していたのだった。
