愛してるって言って!
第5章 【夜の闇は白い朝を連れてくる】
「恨んでるわよね。私、忍の事はなんとなくわかるもの」
そんなの、こっちだって一緒だっつの。
「あっそう。で?何がわかってるって言うの」
「静矢くんの事」
その頃、静矢と茜は何がきっかけか知らないが、急に仲良くなっていたようだった。きっと、茜はその事を言っているのだ、と忍は思った。
「静矢さんがどうかした?」
「忍も、好きなんでしょ?」
忍はそれを聞くなり、茜を睨んだ。
「あのさ、そういう聞き方ってずるくない?茜こそ、静矢さんにべた惚れのくせに」
「ごめん…。でも、忍には、ちゃんと言っておきたかったの」
「だから何をだよ?」
「私、静矢くんと付き合う事になったから」
忍は一瞬耳を疑った。確かに、このところ二人はバイトで一緒になる時も、前より話をする事が多くなっていたし、時々、夜に長電話をしていた事も知っている。けれど恋人同士のような、そんな雰囲気は二人にはなかった。
「付き合ってるの…?」
動揺しないわけがなかった。思わず裏返りそうになる声でそう聞くと、茜は静かに頷いた。
「いつから?!」
「ちょっと前」
嘘だ…。だって静矢さん、おれに何も言ってなかったのに。
すると、その言葉がまるで聞こえたかのように、茜は言った。
「忍には、内緒にしておいてって私が言ったの。静矢くんとの事は、私から話した方がいいと思ったから」
「は…何それ。そんなの、どっちだっていいよ」
恋人同士になった二人が、自分に気を遣っているという事が、なんだか異常に腹立たしくなって、忍は言葉を吐き捨てた。
「あのね、明日…静矢くんの家に呼ばれてるの。知ってる?静矢くんのお家、今お父さんが単身赴任してて、お母さんも今そこに行ってて、家にいなくて、だから…ほとんど一人暮らしみたいな感じらしいの」
それを聞いた途端、忍の胸が一気にざわついた。
吐き気がしてくる…。だから、なんだって言うわけ?
「へえ…別にいいんじゃない?」
なんでおれにわざわざそれを言うんだよ…!大体、そんなの知らなかったし。
静矢と遊ぶ時は、忍の家か、飲み屋と決まっていたし、静矢と何かを話しても、特に内容のない、薄っぺらい話ばかりだった。一々覚えていられない程くだらない話も多いが、それはとても楽しくて、忍にとっては忘れられない時間になる。だから静矢の家の話なんて、忍は一度も聞いた事がなかった。
そんなの、こっちだって一緒だっつの。
「あっそう。で?何がわかってるって言うの」
「静矢くんの事」
その頃、静矢と茜は何がきっかけか知らないが、急に仲良くなっていたようだった。きっと、茜はその事を言っているのだ、と忍は思った。
「静矢さんがどうかした?」
「忍も、好きなんでしょ?」
忍はそれを聞くなり、茜を睨んだ。
「あのさ、そういう聞き方ってずるくない?茜こそ、静矢さんにべた惚れのくせに」
「ごめん…。でも、忍には、ちゃんと言っておきたかったの」
「だから何をだよ?」
「私、静矢くんと付き合う事になったから」
忍は一瞬耳を疑った。確かに、このところ二人はバイトで一緒になる時も、前より話をする事が多くなっていたし、時々、夜に長電話をしていた事も知っている。けれど恋人同士のような、そんな雰囲気は二人にはなかった。
「付き合ってるの…?」
動揺しないわけがなかった。思わず裏返りそうになる声でそう聞くと、茜は静かに頷いた。
「いつから?!」
「ちょっと前」
嘘だ…。だって静矢さん、おれに何も言ってなかったのに。
すると、その言葉がまるで聞こえたかのように、茜は言った。
「忍には、内緒にしておいてって私が言ったの。静矢くんとの事は、私から話した方がいいと思ったから」
「は…何それ。そんなの、どっちだっていいよ」
恋人同士になった二人が、自分に気を遣っているという事が、なんだか異常に腹立たしくなって、忍は言葉を吐き捨てた。
「あのね、明日…静矢くんの家に呼ばれてるの。知ってる?静矢くんのお家、今お父さんが単身赴任してて、お母さんも今そこに行ってて、家にいなくて、だから…ほとんど一人暮らしみたいな感じらしいの」
それを聞いた途端、忍の胸が一気にざわついた。
吐き気がしてくる…。だから、なんだって言うわけ?
「へえ…別にいいんじゃない?」
なんでおれにわざわざそれを言うんだよ…!大体、そんなの知らなかったし。
静矢と遊ぶ時は、忍の家か、飲み屋と決まっていたし、静矢と何かを話しても、特に内容のない、薄っぺらい話ばかりだった。一々覚えていられない程くだらない話も多いが、それはとても楽しくて、忍にとっては忘れられない時間になる。だから静矢の家の話なんて、忍は一度も聞いた事がなかった。