愛してるって言って!
第5章 【夜の闇は白い朝を連れてくる】
『憤り』
部屋の中は静かだ。千春が皿を片付ける音と、風呂場から聞こえてくるシャワーの音だけが部屋に響いている。
「千春」
嶋が千春を呼んだ。だが千春は、目を合わせずに洗った皿を拭いている。
「千春」
もう一度呼んだ。
「聞こえてます」
千春は嶋に目を向けずに、抑揚のない声でそう答えた。
「いつから知ってた」
嶋はじろっと千春を睨む。
「蒔田さんの、友達が来てた辺り」
「なんですぐ言わなかった」
「言いたくなかったからです」
「嘘ついてたのか」
「僕だって初めから知ってたわけじゃありません」
「でも、わかった時には言わなかった」
二人の間に沈黙が流れる。その沈黙を破ったのは嶋だった。
「オレは、そういうのは好きじゃない」
「知ってます」
「なら知ってて、黙ってたんだな?」
「嶋さんが好きだから…取られたくなかったんです」
千春はそう言いながら、洗った皿を拭いて棚に戻す。嶋は、千春を見つめた。気持ちは理解できても、納得がいかなかった。
予想していた事の中でも、最悪な事が起きていたのに気付かなかった自分もバカだ、と思った。
あいつを…守ってやりたかった。
「千春。オレは、お前の純粋で、真っすぐな所に惹かれてた。でも…違ったんだな」
千春は、ハッと何かに気付いたように嶋を見た。嶋は、すぐに顔を背ける。今は、千春の顔を見たくなかった。だが、忍がいるここで今、千春と口論するわけにもいかない。嶋は、もどかしい怒りをグッと堪えた。
その時だった。突然、静かだった部屋に、嶋のケータイが鳴った。それが誰からかかってきたか、表示を見ずともすぐにわかる。嶋は深呼吸を一つしてから電話に出た。
部屋の中は静かだ。千春が皿を片付ける音と、風呂場から聞こえてくるシャワーの音だけが部屋に響いている。
「千春」
嶋が千春を呼んだ。だが千春は、目を合わせずに洗った皿を拭いている。
「千春」
もう一度呼んだ。
「聞こえてます」
千春は嶋に目を向けずに、抑揚のない声でそう答えた。
「いつから知ってた」
嶋はじろっと千春を睨む。
「蒔田さんの、友達が来てた辺り」
「なんですぐ言わなかった」
「言いたくなかったからです」
「嘘ついてたのか」
「僕だって初めから知ってたわけじゃありません」
「でも、わかった時には言わなかった」
二人の間に沈黙が流れる。その沈黙を破ったのは嶋だった。
「オレは、そういうのは好きじゃない」
「知ってます」
「なら知ってて、黙ってたんだな?」
「嶋さんが好きだから…取られたくなかったんです」
千春はそう言いながら、洗った皿を拭いて棚に戻す。嶋は、千春を見つめた。気持ちは理解できても、納得がいかなかった。
予想していた事の中でも、最悪な事が起きていたのに気付かなかった自分もバカだ、と思った。
あいつを…守ってやりたかった。
「千春。オレは、お前の純粋で、真っすぐな所に惹かれてた。でも…違ったんだな」
千春は、ハッと何かに気付いたように嶋を見た。嶋は、すぐに顔を背ける。今は、千春の顔を見たくなかった。だが、忍がいるここで今、千春と口論するわけにもいかない。嶋は、もどかしい怒りをグッと堪えた。
その時だった。突然、静かだった部屋に、嶋のケータイが鳴った。それが誰からかかってきたか、表示を見ずともすぐにわかる。嶋は深呼吸を一つしてから電話に出た。