
愛してるって言って!
第1章 【酒と男と双子の弟】
「じゃあ、俺は後ろからついて行くから」
夜9時を回った頃、三人はマスターに見送られて店を出た。忍の顔が曇っている。毎度こうして、嶋を送る事に、最近はもう嫌気が差しているのだろう。
「嶋、忍を使うのもいい加減にしてやれよ」
「わかってないな、お前は。愛だよ、愛」
それが聞こえたのか、忍は一層嫌な顔を見せた。
「じゃあ義兄さん、先に行くね」
ぶすくった顔で、忍は嶋の車の運転席に乗り込む。それを確認してから、静矢も自分の車に乗り込み、エンジンをかけた。
静矢は茜と死別してから、車を買い替えた。以前はドライブが好きで、スポーツ系のセダンタイプに乗っていたが、今は四駆のSUV車だ。冬場、雪の多い那須では、その方が都合が良かったし、茜との思い出が詰まった車に一人で乗る事は、静矢には耐えられなかったというのもあった。今となっては車を足として利用するだけで、走らせていて楽しいと思う事はほとんどなくなってしまっている。ただし、忍を乗せて走る、職場と家との行き帰りのドライブだけは例外だった。
夜9時を回った頃、三人はマスターに見送られて店を出た。忍の顔が曇っている。毎度こうして、嶋を送る事に、最近はもう嫌気が差しているのだろう。
「嶋、忍を使うのもいい加減にしてやれよ」
「わかってないな、お前は。愛だよ、愛」
それが聞こえたのか、忍は一層嫌な顔を見せた。
「じゃあ義兄さん、先に行くね」
ぶすくった顔で、忍は嶋の車の運転席に乗り込む。それを確認してから、静矢も自分の車に乗り込み、エンジンをかけた。
静矢は茜と死別してから、車を買い替えた。以前はドライブが好きで、スポーツ系のセダンタイプに乗っていたが、今は四駆のSUV車だ。冬場、雪の多い那須では、その方が都合が良かったし、茜との思い出が詰まった車に一人で乗る事は、静矢には耐えられなかったというのもあった。今となっては車を足として利用するだけで、走らせていて楽しいと思う事はほとんどなくなってしまっている。ただし、忍を乗せて走る、職場と家との行き帰りのドライブだけは例外だった。
