テキストサイズ

愛してるって言って!

第1章 【酒と男と双子の弟】

「あの続き、オレは楽しみにしてるよ」
ニヤリとして、嶋は言う。
「ないって言ってるでしょ。ほら、着いたよ」
「はいはい。だけど、あいつより先にお前とキスしたのはオレだ」
嶋の勝ち誇ったような言葉に、忍は無言になった。頭の中で、古い記憶が蘇る。
「違うけど」
「何が」
「義兄さんが先」
「えっ?」
嶋の声が裏返る。
「だから、嶋さんより先におれ、義兄さんとキスしてるから」
やや早口で、ぼそっと忍は言った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ