愛してるって言って!
第2章 【四人の男は恋をしている】
忍は厨房に入り、一人分のランチを作りながらため息をついた。
「静矢さん…」
昨日の夜、久しぶりに酒を飲んだ忍は、うっかり昔の呼び方で、静矢を呼んでしまった。
もうずっと、呼ぶ時は義兄さんって呼んでいたのに…。
静矢が結婚してから、静矢さん、と心の中で思ってはいても、口に出して呼ぶ事は決してなかった。
それは、忍なりのけじめのつけ方で、静矢の義理の弟になる、という事を覚悟したからだった。
それなのに、つい浮かれて名前で呼んでしまって、しかも静矢はびっくりして一瞬固まってはいたが、好きに呼んでいい、と言ったのだ。
それって…義兄さん、じゃなくてもいいって事?
それとも…なんでもいいって事?
「あー!わかんない!」
忍は厨房で一人、ただ悶々と同じ事を考え続けていた。
「お待たせしました」
忍は、出来上がったランチを、カウンターに座る、嶋の前に置いて出す。
いつもより覇気のない忍の顔色を窺いながら、嶋は「頂きます」と言って、食事に手をつけた。
「元気ないな」
いつも一口食べた途端、大袈裟に忍の料理を褒める嶋が、今日は気遣って、そう言葉をかける。
「嶋さんがうるさいからだよ」
「それは随分な言いがかりだ」
「そうだね…」
「は?」
嶋は、何言ってんだこいつ?と言わんばかりに顔をしかめている。
「ねぇ、嶋さん」
「ん?」
「おれがもし、急に諒太郎さん…って呼んだら、どう?」
「そりゃお前…」
嶋は、水を一口飲んで、ゴクッと飲み込んだ。
「静矢さん…」
昨日の夜、久しぶりに酒を飲んだ忍は、うっかり昔の呼び方で、静矢を呼んでしまった。
もうずっと、呼ぶ時は義兄さんって呼んでいたのに…。
静矢が結婚してから、静矢さん、と心の中で思ってはいても、口に出して呼ぶ事は決してなかった。
それは、忍なりのけじめのつけ方で、静矢の義理の弟になる、という事を覚悟したからだった。
それなのに、つい浮かれて名前で呼んでしまって、しかも静矢はびっくりして一瞬固まってはいたが、好きに呼んでいい、と言ったのだ。
それって…義兄さん、じゃなくてもいいって事?
それとも…なんでもいいって事?
「あー!わかんない!」
忍は厨房で一人、ただ悶々と同じ事を考え続けていた。
「お待たせしました」
忍は、出来上がったランチを、カウンターに座る、嶋の前に置いて出す。
いつもより覇気のない忍の顔色を窺いながら、嶋は「頂きます」と言って、食事に手をつけた。
「元気ないな」
いつも一口食べた途端、大袈裟に忍の料理を褒める嶋が、今日は気遣って、そう言葉をかける。
「嶋さんがうるさいからだよ」
「それは随分な言いがかりだ」
「そうだね…」
「は?」
嶋は、何言ってんだこいつ?と言わんばかりに顔をしかめている。
「ねぇ、嶋さん」
「ん?」
「おれがもし、急に諒太郎さん…って呼んだら、どう?」
「そりゃお前…」
嶋は、水を一口飲んで、ゴクッと飲み込んだ。