愛してるって言って!
第2章 【四人の男は恋をしている】
「襲うに決まってるだろ」
忍は嶋を睨む。
この人は…。
幸い、この時間は客もまばらで、いたとしてもお喋りに夢中な女性が多い。声を張らない限り、カウンターに座る別の客の話なんて、そうそう聞こえはしないはずだ。だが、この男にとって、そんな事はお構いなしなのだろう。本当にこういう所が、デリカシーに欠けている、と忍は思った。
「最っ低」
「そういう事が聞きたかったんじゃないのか?」
「極端なんだよ、嶋さんは」
嶋は頬杖をついて、忍をじっと見つめる。忍はそれに気付かない振りをした。洗って乾かしてあった皿を知らんぷりで片付け始める。
「それで?呼んだわけ」
「何が」
「だから、何だか知らないけど呼んでみたんだろ?静矢さんって」
顔が熱くなる。忍は無言で小さく頷いた。
「んで?蒔田は?」
「いいよって」
「ふうん」
嶋は面白くなさそうに、また食事に戻る。
「それってさ、呼び方なんて、どうでもいいって事なのかな?」
「さぁな。あいつにとっちゃそうなのかもしれないけど、普通少しは気になるもんだろ」
「だよね…。ちょっと期待したけど、やっぱりあり得ない…かな」
忍は、急に切なくなって目を伏せた。静矢の名前を呼んでもいい、というだけで、忍は自分が義弟としてではなく、一人の男として、恋愛対象として、静矢に受け入れてもらえるかもしれないと、つい、自分に都合のいいように考えてしまっていた。
忍は嶋を睨む。
この人は…。
幸い、この時間は客もまばらで、いたとしてもお喋りに夢中な女性が多い。声を張らない限り、カウンターに座る別の客の話なんて、そうそう聞こえはしないはずだ。だが、この男にとって、そんな事はお構いなしなのだろう。本当にこういう所が、デリカシーに欠けている、と忍は思った。
「最っ低」
「そういう事が聞きたかったんじゃないのか?」
「極端なんだよ、嶋さんは」
嶋は頬杖をついて、忍をじっと見つめる。忍はそれに気付かない振りをした。洗って乾かしてあった皿を知らんぷりで片付け始める。
「それで?呼んだわけ」
「何が」
「だから、何だか知らないけど呼んでみたんだろ?静矢さんって」
顔が熱くなる。忍は無言で小さく頷いた。
「んで?蒔田は?」
「いいよって」
「ふうん」
嶋は面白くなさそうに、また食事に戻る。
「それってさ、呼び方なんて、どうでもいいって事なのかな?」
「さぁな。あいつにとっちゃそうなのかもしれないけど、普通少しは気になるもんだろ」
「だよね…。ちょっと期待したけど、やっぱりあり得ない…かな」
忍は、急に切なくなって目を伏せた。静矢の名前を呼んでもいい、というだけで、忍は自分が義弟としてではなく、一人の男として、恋愛対象として、静矢に受け入れてもらえるかもしれないと、つい、自分に都合のいいように考えてしまっていた。