テキストサイズ

愛してるって言って!

第2章 【四人の男は恋をしている】

鍵を開け、忍は家に入る。いつもは大人二人が暮らすのにちょうどいいこの家も、一人でいるとなぜか異常に広く感じた。まだ今頃、静矢は挙式後の片付けに追われているんだろう。
先に風呂にでも入ろうかと、忍はおもむろに着ていたシャツを脱ぐ。その一瞬、ふわっと甘く濃密な香りがして、忍はため息をついた。
嶋さんの香水だ…。
それを洗濯籠に入れ、シャワーを浴びる。
風呂場には、シャワーの音だけが響いていた。

そろそろ、マジで襲われそうだな…。
ああ見えて、意外と根は真面目な嶋が、嫌がる忍を無理矢理犯す、なんて事はないとは思うのだが、実際嶋は、断りもなく、隙があればキスをしてくるわけだから、その可能性はないとは言い難かった。
嶋を警戒する一方で、いつかは忍も、静矢以外の男に抱かれ、身も心も、静矢以外の男のものになって、自ら望んでここを去っていく日が来るのかもしれない、と考えたりもする。静矢だって、そのうちに茜を失った傷が癒えて、誰か好きな人でもできれば、再婚を考えるかもしれない。
だったら、尚の事。一度でもいい。茜の代わりにされてもいいから、静矢さんに求められたい。
「静矢さん…」
たった一度、その名前を呼んだだけで、忍の身体はとても正直に反応した。
身代わりでもいい。自分と同じ重さで愛してくれなくてもいい。間違ってでも、ただ、自分を求めてくれたら…それで。
忍の手が、必然にそこへ伸びる。この手が、静矢の手だったら。もしもこうして、触れてくれたら。妄想を次第に膨らませ、忍はすでに硬くなり始めていた自らのそれを包み込むように握ると、ゆっくりと上へ、下へと動かした。
「んんっ…あ…」
快感に身を委ねると、忍の息は荒くなり、その身体は熱を帯びていく。忍は、その先端を指でなぞるように触れた後、根元を握って動かす手を、少しづつ速めていった。それはとても自然に、当たり前に、忍の手の中で大きく膨らんでいく。
「せ…静矢…さん…」
シャワーの音に混じって、規則的な水音と忍の声が、いやらしく風呂場に響いている。手の中で更に硬く、はち切れそうになっているそれを強く握り、動かす毎に、忍は限界へと近づいていった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ