
愛してるって言って!
第1章 【酒と男と双子の弟】
結婚したばかりの妻が、僅か二十四歳という若さで、しかも自ら命を絶ったという現実を、静矢は当時、受け入れる事ができなかった。毎日の様に涙し、生まれて初めて神と運命を恨んだ。と、同時に、自分の無力さに絶望し、茜が自ら命を絶ったのは、自分のせいもあったのではないか、と悩み、答えの出ない事とわかってはいながら、夜通し考えたりもした。
毎朝目が覚めると、酷い悪夢を見た後の様な気分で一日が始まる。茜が隣にいない事に気付き、仏壇を見る度に、これは現実なのだと思い知らされ、重い身体を引きずる様に職場へ向かう。そして腫れ物に触られる様に扱われながら仕事をこなし、残業も程々に家へ帰る。毎日がその繰り返しで、茜がいなくなってからの静矢は、心を閉ざし、会社の歯車としてただ動く、人形の様だった。
ウエディングプランナーとして働いて数年。望んで選んだはずの仕事だったが、静矢はその楽しさややりがいを忘れていた。仕事とは言えど、他人の幸せを祝福できる余裕は、その時既に微塵もなくなっていた。特に仕事が辛いと思ったりはしなかったが、感情をどこかに忘れてきたまま、身体が習慣のみで動いているような感覚だった。
恐らく、靖男がこの那須へ移り住む事を静矢に強く勧めていたのは、そんな静矢の心身を心配してという事もあったのだろう。
毎朝目が覚めると、酷い悪夢を見た後の様な気分で一日が始まる。茜が隣にいない事に気付き、仏壇を見る度に、これは現実なのだと思い知らされ、重い身体を引きずる様に職場へ向かう。そして腫れ物に触られる様に扱われながら仕事をこなし、残業も程々に家へ帰る。毎日がその繰り返しで、茜がいなくなってからの静矢は、心を閉ざし、会社の歯車としてただ動く、人形の様だった。
ウエディングプランナーとして働いて数年。望んで選んだはずの仕事だったが、静矢はその楽しさややりがいを忘れていた。仕事とは言えど、他人の幸せを祝福できる余裕は、その時既に微塵もなくなっていた。特に仕事が辛いと思ったりはしなかったが、感情をどこかに忘れてきたまま、身体が習慣のみで動いているような感覚だった。
恐らく、靖男がこの那須へ移り住む事を静矢に強く勧めていたのは、そんな静矢の心身を心配してという事もあったのだろう。
