愛してるって言って!
第2章 【四人の男は恋をしている】
千春は忍の耳元でこそっと囁いた。その言葉に、忍は思わず固まる。
「はい…?」
「違うんですか?」
「えっと…」
忍は周りを見渡してから、またもう一度千春を見た。くりっとした大きなその目で真っすぐに見つめられ、忍は何も言えなくなった。
「あ、僕言わないですよ。こう見えて、口硬いですから」
「いや…その、千春…」
「今更隠しても無駄ですって」
クスクス笑う千春は、どこか嬉しそうだ。その屈託ない笑顔を見て、忍はため息をついた。
「えーっと…なんでわかったの?」
「なんでって。忍さん、ずっと蒔田さんの事ばっかり見てるし」
「そうだった…?」
「はい。でも…もしかしたら、僕だから気付いたのかも」
「それって、どういう事?ちょっと、まさか…」
「僕も忍さんと同じタイプかなって。あ、蒔田さんの事どうこうとかじゃなくてですよ」
そういう事ね…。
忍は、ホッとして息をついた。
仕事がひと段落した頃、忍は二人分のコーヒーを淹れ、その一つを千春に差し出した。
「はい、お疲れ」
「ありがとうございます。やっと少し落ち着きましたね」
「そうだね…。ねぇ、千春」
「何ですか?」
「さっき言ってた事、本当?」
「本当です。歓迎会をして頂いた時、忍さんに、なんで那須へ来たのって聞かれて、地元を離れたいとか、世界を広げたいとか生意気な事言っちゃいましたけど、本当は…もっとバカみたいに単純な事なんです」
そう言った千春の目が切なそうに、とても寂しそうに揺れる。
「僕、前に都内で働いてた時、付き合ってる人がいたんです。その人、毎日欠かさず店に来てくれる常連さんで、僕よりずっと大人で、落ち着いてて、一緒にいると楽しくて、素敵な人でした。毎日、その人に会える事が本当に幸せで、仕事に行くのが毎日楽しみでした」
「はい…?」
「違うんですか?」
「えっと…」
忍は周りを見渡してから、またもう一度千春を見た。くりっとした大きなその目で真っすぐに見つめられ、忍は何も言えなくなった。
「あ、僕言わないですよ。こう見えて、口硬いですから」
「いや…その、千春…」
「今更隠しても無駄ですって」
クスクス笑う千春は、どこか嬉しそうだ。その屈託ない笑顔を見て、忍はため息をついた。
「えーっと…なんでわかったの?」
「なんでって。忍さん、ずっと蒔田さんの事ばっかり見てるし」
「そうだった…?」
「はい。でも…もしかしたら、僕だから気付いたのかも」
「それって、どういう事?ちょっと、まさか…」
「僕も忍さんと同じタイプかなって。あ、蒔田さんの事どうこうとかじゃなくてですよ」
そういう事ね…。
忍は、ホッとして息をついた。
仕事がひと段落した頃、忍は二人分のコーヒーを淹れ、その一つを千春に差し出した。
「はい、お疲れ」
「ありがとうございます。やっと少し落ち着きましたね」
「そうだね…。ねぇ、千春」
「何ですか?」
「さっき言ってた事、本当?」
「本当です。歓迎会をして頂いた時、忍さんに、なんで那須へ来たのって聞かれて、地元を離れたいとか、世界を広げたいとか生意気な事言っちゃいましたけど、本当は…もっとバカみたいに単純な事なんです」
そう言った千春の目が切なそうに、とても寂しそうに揺れる。
「僕、前に都内で働いてた時、付き合ってる人がいたんです。その人、毎日欠かさず店に来てくれる常連さんで、僕よりずっと大人で、落ち着いてて、一緒にいると楽しくて、素敵な人でした。毎日、その人に会える事が本当に幸せで、仕事に行くのが毎日楽しみでした」