
愛してるって言って!
第1章 【酒と男と双子の弟】
静矢と茜が出会ったのは、静矢が大学三年の時だった。当時、バイトしていた先の居酒屋に、後輩として入って来た茜は、静矢の二つ歳下で、何となく不思議な雰囲気を持った女性だった。居酒屋には似つかわしくない、物静かで思慮深く、感情をあまり表に出さない性格でいて、普段、何を考えているのかは全く読めない上に、その外見には妖艶な美しさを纏っていた。だが、客に見せる笑顔は、まるで子供の様な純真さを感じさせるのだから本当に不思議で、そのギャップに惹かれるのか、客や、同じバイト仲間の中には、茜に心を寄せる人も多かった。それでも茜は、媚びる事も、なびく事もなかった為、彼女はひょっとしたら同性愛者なのではないか、という噂が、バイト仲間の中ではたった事もあった。
確か、その少し後だ。茜の弟である、忍が新しくバイトに入って来たのは。
茜の双子の弟である忍は、外見はよく似ているのに、その性格は随分と違っていた。忍は所謂、今時の可愛い系男子、とでもいったところだろうか。明るく、天真爛漫で、少しワガママだが人懐こく、生意気なのになぜか憎めない。初めて会った時から忍はそんな印象だった。静矢は、双子なのに、性格はこんなにも違うものなのか、と驚いたのを今でも鮮明に覚えている。
無論、静矢が先に仲良くなったのは、忍の方だった。たまたま忍の教育係を任される事になった静矢は、忍に仕事を教えていくうちに、あっという間に親しくなり、気付いた頃には、仲の良い友人の様な間柄になっていた。大抵は忍の家で、ゲームをしたり、DVDを借りてきて見る事が多かったが、忍が成人してからは、二人で酒を飲みに行くようにもなった。ただ酒を飲んで話す、それだけの事が、当時はあまりに楽しくて、休日にはつい時間を忘れ、明け方まで酒を飲み、空が明るくなってから帰るなんて事は、日常茶飯事だった。
確か、その少し後だ。茜の弟である、忍が新しくバイトに入って来たのは。
茜の双子の弟である忍は、外見はよく似ているのに、その性格は随分と違っていた。忍は所謂、今時の可愛い系男子、とでもいったところだろうか。明るく、天真爛漫で、少しワガママだが人懐こく、生意気なのになぜか憎めない。初めて会った時から忍はそんな印象だった。静矢は、双子なのに、性格はこんなにも違うものなのか、と驚いたのを今でも鮮明に覚えている。
無論、静矢が先に仲良くなったのは、忍の方だった。たまたま忍の教育係を任される事になった静矢は、忍に仕事を教えていくうちに、あっという間に親しくなり、気付いた頃には、仲の良い友人の様な間柄になっていた。大抵は忍の家で、ゲームをしたり、DVDを借りてきて見る事が多かったが、忍が成人してからは、二人で酒を飲みに行くようにもなった。ただ酒を飲んで話す、それだけの事が、当時はあまりに楽しくて、休日にはつい時間を忘れ、明け方まで酒を飲み、空が明るくなってから帰るなんて事は、日常茶飯事だった。
