
愛してるって言って!
第3章 【合縁奇縁】
百合とちょうど入れ違いに、嶋が店へ入って来るのが見え、千春は、少しホッとして、二人分のコーヒーを淹れた。正直、勇司と二人っきりは気まずい。
「彼女は、新潟に住んでいた事があるんだ」
「そうなんですか…」
嶋がいつもの席に座り、こちらを少し気にしている。無理もない。このカフェで、この時間、カウンターに座る客はごく僅かだった。特に平日は、ほとんどいないと言ってもいい。
「お待たせしました。コーヒーです。お連れ様の分は、後程、戻られましたらお出し致します」
「ありがとう」
千春は頭を下げて、嶋にもコーヒーを差し出した。
「はい、嶋さん。お疲れ様です。ここに、ミルク置いておきますね」
「おう、お疲れ」
勇司が嶋に視線を向けている。それに気付いたのか、嶋は軽く会釈をした。勇司も微笑んで頭を下げる。
「変わってないみたいだな。千春」
「はい、おかげさまで…」
もうきれいさっぱり、忘れてしまったように思っていたが、顔がこわばってうまく笑えない。ぎこちない笑顔を見られまいと、千春は顔を俯かせた。
「あれから随分探したんだぞ。まさか、那須にいるとは思わなかったが…」
「すみません…」
なんで謝ってるんだろう。振ったのは、勇司さんなのに。
千春はなんだかモヤモヤした気分になってきて、ふうっと息をついた。
「いや、会えてよかった。会いたかったよ」
千春は、ちらっと嶋を見た。嶋は知らぬ顔でコーヒーを飲んでいたが、まぁまず間違いなく、話は聞こえているはずだ。
「千春、せっかくこんな形でまた会えたんだ。今夜、な?」
「えっ…?」
今夜…?
その意味をすぐに理解して、千春は聞き返した。頭が混乱する。確かに千春はこの男に振られたはずなのに、なぜ今また誘われているのか、まるで変な夢でも見ているような気分だった。
「冗談ですよね?っていうかなんで…」
「冗談なもんか。どこかで会って、ゆっくり話でもしよう」
「あの、勇司さん…僕…」
「迎えに来るよ。仕事は?ここは何時までなんだ?」
「待ってください。勇司さん、あの…」
「店は7時までか。じゃあ半には来る。わかったな?」
強引な所は相変わらずだ…。
千春は仕方なく、コクリ、と頷いた。
「彼女は、新潟に住んでいた事があるんだ」
「そうなんですか…」
嶋がいつもの席に座り、こちらを少し気にしている。無理もない。このカフェで、この時間、カウンターに座る客はごく僅かだった。特に平日は、ほとんどいないと言ってもいい。
「お待たせしました。コーヒーです。お連れ様の分は、後程、戻られましたらお出し致します」
「ありがとう」
千春は頭を下げて、嶋にもコーヒーを差し出した。
「はい、嶋さん。お疲れ様です。ここに、ミルク置いておきますね」
「おう、お疲れ」
勇司が嶋に視線を向けている。それに気付いたのか、嶋は軽く会釈をした。勇司も微笑んで頭を下げる。
「変わってないみたいだな。千春」
「はい、おかげさまで…」
もうきれいさっぱり、忘れてしまったように思っていたが、顔がこわばってうまく笑えない。ぎこちない笑顔を見られまいと、千春は顔を俯かせた。
「あれから随分探したんだぞ。まさか、那須にいるとは思わなかったが…」
「すみません…」
なんで謝ってるんだろう。振ったのは、勇司さんなのに。
千春はなんだかモヤモヤした気分になってきて、ふうっと息をついた。
「いや、会えてよかった。会いたかったよ」
千春は、ちらっと嶋を見た。嶋は知らぬ顔でコーヒーを飲んでいたが、まぁまず間違いなく、話は聞こえているはずだ。
「千春、せっかくこんな形でまた会えたんだ。今夜、な?」
「えっ…?」
今夜…?
その意味をすぐに理解して、千春は聞き返した。頭が混乱する。確かに千春はこの男に振られたはずなのに、なぜ今また誘われているのか、まるで変な夢でも見ているような気分だった。
「冗談ですよね?っていうかなんで…」
「冗談なもんか。どこかで会って、ゆっくり話でもしよう」
「あの、勇司さん…僕…」
「迎えに来るよ。仕事は?ここは何時までなんだ?」
「待ってください。勇司さん、あの…」
「店は7時までか。じゃあ半には来る。わかったな?」
強引な所は相変わらずだ…。
千春は仕方なく、コクリ、と頷いた。
