
愛してるって言って!
第3章 【合縁奇縁】
その夜、仕事を終え、千春が店の外に出ると、そこには既に勇司が待っていた。
「勇司さん…」
「千春!」
勇司は千春に駆け寄り、手を取って歩き出す。懐かしいその手に引かれ、確かに愛されていた事を思い出して、千春は勇司の手をそっと握り返した。勇司は美術館前の道の路肩に車を停めていた。車は、付き合っていた頃と変わらない、大きな黒いSUV車だった。勇司は車に乗り込むと、千春に、乗れ、と合図をする。だが、千春はそこまで来て立ち止まった。
「あの…ごめんなさい。やっぱり、僕…」
躊躇う千春の様子を見て、すぐに勇司は車を降りて来る。
「どうした?」
「だって…いいんですか?婚約者さんも、いるのに…」
「あぁ、もう結婚は決まってるし。それに、今日は二人でごゆっくりって言われてるから、大丈夫だよ」
ごゆっくりと言われても、久しぶりに会った友人と食事に行くのとはわけが違う。
「でも…やっぱりこういうのって…良くないですよ」
「千春、ごめんな。妬いてるんだろ?」
妬いてない、わけではなかった。だが、ここで頷いてしまえば、千春の心はまた勇司に囚われてしまう。それはもう嫌だった。
「別に…妬いてなんかいません」
「他に好きな奴でも、できたのか?」
優しい声なのに、なぜか冷たく感じた。
なんだろう、少し、怖い…。
千春は、首を横に振った。
「なんだ、じゃあいいじゃないか。オレは今でも千春が好きだよ」
「えっ…?」
今、なんて言った?
聞き間違いかと思った。だが勇司は、またその言葉をハッキリと口にする。
「大好きだよ、千春」
そう言って、勇司は優しく千春を抱きしめた。
信じられなかった。忘れようと、あんなに泣いて苦しんだのは、一体何だったのだろうと思えてくる。
「嘘だ…。だって…」
「前みたいに付き合う事は、今はできない。けど、こうして会う事はできるだろ。結婚するって言ったけど、気持ちは全然変わってないんだよ。お前は誤解してるんだ」
「誤解…?」
「あぁ。お前はオレにとって特別なんだよ」
「それって…」
不倫しようって事…?
「どこへ行ったってお前はオレだけのものだ。今だって、ここにこうして一緒にいるだろ」
「勇司さん…」
「千春!」
勇司は千春に駆け寄り、手を取って歩き出す。懐かしいその手に引かれ、確かに愛されていた事を思い出して、千春は勇司の手をそっと握り返した。勇司は美術館前の道の路肩に車を停めていた。車は、付き合っていた頃と変わらない、大きな黒いSUV車だった。勇司は車に乗り込むと、千春に、乗れ、と合図をする。だが、千春はそこまで来て立ち止まった。
「あの…ごめんなさい。やっぱり、僕…」
躊躇う千春の様子を見て、すぐに勇司は車を降りて来る。
「どうした?」
「だって…いいんですか?婚約者さんも、いるのに…」
「あぁ、もう結婚は決まってるし。それに、今日は二人でごゆっくりって言われてるから、大丈夫だよ」
ごゆっくりと言われても、久しぶりに会った友人と食事に行くのとはわけが違う。
「でも…やっぱりこういうのって…良くないですよ」
「千春、ごめんな。妬いてるんだろ?」
妬いてない、わけではなかった。だが、ここで頷いてしまえば、千春の心はまた勇司に囚われてしまう。それはもう嫌だった。
「別に…妬いてなんかいません」
「他に好きな奴でも、できたのか?」
優しい声なのに、なぜか冷たく感じた。
なんだろう、少し、怖い…。
千春は、首を横に振った。
「なんだ、じゃあいいじゃないか。オレは今でも千春が好きだよ」
「えっ…?」
今、なんて言った?
聞き間違いかと思った。だが勇司は、またその言葉をハッキリと口にする。
「大好きだよ、千春」
そう言って、勇司は優しく千春を抱きしめた。
信じられなかった。忘れようと、あんなに泣いて苦しんだのは、一体何だったのだろうと思えてくる。
「嘘だ…。だって…」
「前みたいに付き合う事は、今はできない。けど、こうして会う事はできるだろ。結婚するって言ったけど、気持ちは全然変わってないんだよ。お前は誤解してるんだ」
「誤解…?」
「あぁ。お前はオレにとって特別なんだよ」
「それって…」
不倫しようって事…?
「どこへ行ったってお前はオレだけのものだ。今だって、ここにこうして一緒にいるだろ」
