
愛してるって言って!
第3章 【合縁奇縁】
「な…何?」
嶋が近づいて来る。
こういう時は…やばいかも…!
咄嗟に口元を手で抑えたが、その瞬間、嶋の声が忍の耳元で響いた。
「お前、妬いてるんだろ?」
妬いてる…?
「はぁっ…?!んなわけないじゃん!何言ってんの!?」
「相変わらず、素直じゃないな」
素直だし!自意識過剰だっつの!
嶋は忍の頭をクシャッと撫でて笑っている。
「お待たせしました!嶋さん!」
そこへ、着替え終わった千春がやって来た。忍は、焦って嶋から離れようとして、調理台の角に足をぶつけた。
「いった…!」
「大丈夫ですか?忍さん」
「バカだな、慌てるからだ」
誰のせいだよ、誰の!
忍は、キッと嶋を睨みつけたが、当の本人は知らん顔だ。
「そうだ!嶋さん、新しくできたイタリアンの店、今日行ってみませんか?」
「イタリアン?お前この前もイタリアンだったろ?」
「そうだけど…いいじゃないですか!昨日オープンしたばかりの新しいお店なんですよ」
「へえ。まぁ、別にいいけど」
嶋と千春はこのところ、仕事終わりに食事によく行っている。それに、行き帰りはほとんど嶋が千春を送り迎えしているようだったし、二人の間に何かあったとしか忍には思えなかった。
「本当に、何があったんですか?急に仲良くなっちゃって」
嶋はニヤリとしただけで何も言わなかったが、千春はまた、「内緒です」と言って笑った。
そして静矢の誕生日当日の朝。忍はいつもより少し服装と髪に気を遣った。
「おーい、忍!行くぞ!」
静矢の声が一階から聞こえる。
「すぐ行く!」
そう答え、忍は部屋の鏡をもう一度見た。
「よしっ!」
綺麗に包装された小さな箱を、カバンに入れる。この日、忍は予想もしていなかった。那須での静矢との生活が始まって史上、この日が、とてつもなく長い一日になる、という事を。
嶋が近づいて来る。
こういう時は…やばいかも…!
咄嗟に口元を手で抑えたが、その瞬間、嶋の声が忍の耳元で響いた。
「お前、妬いてるんだろ?」
妬いてる…?
「はぁっ…?!んなわけないじゃん!何言ってんの!?」
「相変わらず、素直じゃないな」
素直だし!自意識過剰だっつの!
嶋は忍の頭をクシャッと撫でて笑っている。
「お待たせしました!嶋さん!」
そこへ、着替え終わった千春がやって来た。忍は、焦って嶋から離れようとして、調理台の角に足をぶつけた。
「いった…!」
「大丈夫ですか?忍さん」
「バカだな、慌てるからだ」
誰のせいだよ、誰の!
忍は、キッと嶋を睨みつけたが、当の本人は知らん顔だ。
「そうだ!嶋さん、新しくできたイタリアンの店、今日行ってみませんか?」
「イタリアン?お前この前もイタリアンだったろ?」
「そうだけど…いいじゃないですか!昨日オープンしたばかりの新しいお店なんですよ」
「へえ。まぁ、別にいいけど」
嶋と千春はこのところ、仕事終わりに食事によく行っている。それに、行き帰りはほとんど嶋が千春を送り迎えしているようだったし、二人の間に何かあったとしか忍には思えなかった。
「本当に、何があったんですか?急に仲良くなっちゃって」
嶋はニヤリとしただけで何も言わなかったが、千春はまた、「内緒です」と言って笑った。
そして静矢の誕生日当日の朝。忍はいつもより少し服装と髪に気を遣った。
「おーい、忍!行くぞ!」
静矢の声が一階から聞こえる。
「すぐ行く!」
そう答え、忍は部屋の鏡をもう一度見た。
「よしっ!」
綺麗に包装された小さな箱を、カバンに入れる。この日、忍は予想もしていなかった。那須での静矢との生活が始まって史上、この日が、とてつもなく長い一日になる、という事を。
