
愛してるって言って!
第3章 【合縁奇縁】
「まさか、店を予約しておいてくれるなんて思わなかったよ。昔もよく祝ってくれたけど、あの頃は、居酒屋だったっけ」
車を運転しながら笑う静矢は、とても嬉しそうだった。その顔を見ただけで、やっぱり思い切って計画して良かった、と忍は思えた。
「あの頃はまだ学生だったしね」
「いや、あの頃もだったけど、嬉しいよ。忍、ありがとな」
「ううん」
店に着き、忍は、少しホッとして車を降りる。駐車場に停まっている車は少なかった。今日は金曜日だが、運良く店は混雑していないようだ。二人は、馴染みのある店に入り、予約してあった席へ案内された。
「忍、飲んでいいから、俺の事は気にするなよ」
「うん、なんか…静矢さんの誕生日なのにごめんね」
「いいって。どうせおれは飲まないから」
忍は微笑んでから、ビールを頼んだ。
やっぱり、普段明るそうに見えても、静矢はまだ、茜の事を引きずっているのだろう。酒の席で静矢を見る度に、忍は思い知る。そして、静矢を覆うその闇を、自分が取り払うのは無理なのかもしれない、と。静矢がまた酒を楽しめるようになる、そんな存在になれたらいいと思ってはいるが、それが現れたとして、それはきっと女性だろうし、義弟の忍ではないのだろう。
忍が小さくため息をついた、そんな時だった。
「嶋さん、それでね、今日…」
嶋、さん…?
忍は、咄嗟に声のした方に振り返った。もちろん、静矢も驚いてそっちを見つめている。店の入り口から入って来たよく知る男の二人組。一人は背が高く、もう一人は小柄。間違いなかった。
「嶋!?」
静矢はそう言って、立ち上がった。
「おう!なんだお前らも今日はここにいたのか!」
嘘でしょ!なんで!?
忍の頭は、もはやパニック状態だった。
「嶋さん!千春も…なんでここに?」
「忍さん!?」
車を運転しながら笑う静矢は、とても嬉しそうだった。その顔を見ただけで、やっぱり思い切って計画して良かった、と忍は思えた。
「あの頃はまだ学生だったしね」
「いや、あの頃もだったけど、嬉しいよ。忍、ありがとな」
「ううん」
店に着き、忍は、少しホッとして車を降りる。駐車場に停まっている車は少なかった。今日は金曜日だが、運良く店は混雑していないようだ。二人は、馴染みのある店に入り、予約してあった席へ案内された。
「忍、飲んでいいから、俺の事は気にするなよ」
「うん、なんか…静矢さんの誕生日なのにごめんね」
「いいって。どうせおれは飲まないから」
忍は微笑んでから、ビールを頼んだ。
やっぱり、普段明るそうに見えても、静矢はまだ、茜の事を引きずっているのだろう。酒の席で静矢を見る度に、忍は思い知る。そして、静矢を覆うその闇を、自分が取り払うのは無理なのかもしれない、と。静矢がまた酒を楽しめるようになる、そんな存在になれたらいいと思ってはいるが、それが現れたとして、それはきっと女性だろうし、義弟の忍ではないのだろう。
忍が小さくため息をついた、そんな時だった。
「嶋さん、それでね、今日…」
嶋、さん…?
忍は、咄嗟に声のした方に振り返った。もちろん、静矢も驚いてそっちを見つめている。店の入り口から入って来たよく知る男の二人組。一人は背が高く、もう一人は小柄。間違いなかった。
「嶋!?」
静矢はそう言って、立ち上がった。
「おう!なんだお前らも今日はここにいたのか!」
嘘でしょ!なんで!?
忍の頭は、もはやパニック状態だった。
「嶋さん!千春も…なんでここに?」
「忍さん!?」
