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愛してるって言って!

第4章 【その愛に中毒を起こす】

「人間という生き物は、感情が多すぎる。だから言葉が必要なんだ」
忍は、眉をしかめて千春を睨む。すると千春はけらけらと笑った。
「似てるでしょ?嶋さんの真似」
「ムカつくくらい似てた」
「嶋さんは説教臭いけど、でも忍さん、やっぱり言って欲しいならそう言わないと」
「そうだけどさ…」
簡単に、聞けるような事じゃないんだよな…。
「忍さん。好きって、蒔田さんに言って欲しいんでしょ?」
そう言った千春にあまりに驚きすぎて、忍は目が点になったまま、一瞬固まってしまい、動けなかった。
「え…ちょっと待って…。何で、千春…」
「忍さん、まさか気付かれてないと思ってたんですか?」
千春に、静矢との関係を知られていたとわかり、忍は堪らなく恥ずかしくなった。千春はひとしきり笑った後、急に真剣な顔をして言う。
「まぁ、気持ちはわかりますけどね。僕も」
「え…?」
「面倒くさいですよね。きっと人間だけですよ。こんな事考えてるのって」
そう言って千春は忍に、にこっと笑って見せた。

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