異世界転生が出来ると思ったのにポイントが高すぎる
第2章 後編
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「ここでいいわ。ちょっと歩きたいの」
「では、ここでお待ちしています」
「帰っていいわよ。そこの角に確かバス停があったからバスで帰るわ」
「ダメですよ。これから大事な期間に入るのに何かあったら困ります」
「はいはい。じゃ30分くらいはふらふらさせてね」
「30分ですよ!」
やれやれと私は秘書を車に残し、懐かしい神社の前に立つ。
「なんて懐かしい……」
ここを通りがかったのは偶然だ。もう若くない私は懐かしさを胸に赤い鳥居をくぐり、本殿の前にやってきた。参るものは誰もおらず静かな境内は時間が止まったようだ。
「まさか、もういないわよね」
もう記憶ではぼんやりしている人外の銀月様の姿を思い浮かべるが、あれは若い頃の幻想だったのだろうと今では思っている。
でもこの神社に訪れてから自分の生き方が変わったのは確かだ。周囲の人間関係を大事にし、そのうちそれが良好になってくると私は福祉に目覚めた。福祉に従事しながら社会全体に目を向け、気が付くと政治家になっていた。今度また選挙がある。
ここまであっという間に時間が過ぎ息つく暇もなかったように思う。恋愛することも結婚することもなかった。熱心にアプローチしてくれる人がいたのになぜだか心が動かされなかった。
「ここでいいわ。ちょっと歩きたいの」
「では、ここでお待ちしています」
「帰っていいわよ。そこの角に確かバス停があったからバスで帰るわ」
「ダメですよ。これから大事な期間に入るのに何かあったら困ります」
「はいはい。じゃ30分くらいはふらふらさせてね」
「30分ですよ!」
やれやれと私は秘書を車に残し、懐かしい神社の前に立つ。
「なんて懐かしい……」
ここを通りがかったのは偶然だ。もう若くない私は懐かしさを胸に赤い鳥居をくぐり、本殿の前にやってきた。参るものは誰もおらず静かな境内は時間が止まったようだ。
「まさか、もういないわよね」
もう記憶ではぼんやりしている人外の銀月様の姿を思い浮かべるが、あれは若い頃の幻想だったのだろうと今では思っている。
でもこの神社に訪れてから自分の生き方が変わったのは確かだ。周囲の人間関係を大事にし、そのうちそれが良好になってくると私は福祉に目覚めた。福祉に従事しながら社会全体に目を向け、気が付くと政治家になっていた。今度また選挙がある。
ここまであっという間に時間が過ぎ息つく暇もなかったように思う。恋愛することも結婚することもなかった。熱心にアプローチしてくれる人がいたのになぜだか心が動かされなかった。