そばにいたい。
第6章 二人で休日出勤
ケータイを耳にあてた瞬間
『せんぱぁぁぁぁい!!』
キョーコの男受けする甘そうな声が耳に突き刺さった
「っ?!ちょ!うっさい!!」
『あーん、すみませぇん…あのぉ』
「なに、私、まだ寝てたんだけど…」
『豪華ランチご馳走します!今すぐ会いたいです!』
「やだ」
『えぇぇぇぇ!?お願いしますよう!』
説明しよう、先ほどキョーコが言った
《豪華ランチご馳走します 今すぐ会いたいです》
これはそのままの意味ではない。訳すとこうなる…
《昼飯代くらい出すから 今すぐ仕事を手伝え》
どうせ明日のプレゼンの資料がまだ出来てないとか
どうせ明日提出期限の書類のデータを無くしたとか
どうせ明日までの仕事を今日まで忘れていたとか
どうせ、どうせ、そんな社会人としてはどうなの?!って言う理由なのよ!
「どーせ、仕事手伝えって事なんでしょ…?!」
『えー!?どぉして、わかったんですかぁ!?』
…この娘、本気で言ってるのかな…?同じ呼び出しを何度されてると思ってるの?私、この娘の上司辞めたいわ…
「やーよ、遥斗もいるし、私は手伝わないわよ」
『あ、センパイの天使くんですね!』
「じゃ、また寝るから」
私は通話終了のマークを押そうとする
『せんぱぁぁぁぁぁああぁい!お願いしますぅーーーーー!!!!』
ケータイから部屋中に響くようなキョーコの絶叫が聞こえた…。