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貴方がいつもそこに居てくれたから…

第2章 弐


意味が分からない僕と相葉さんの為に、櫻井さんは物凄く分かりやすく丁寧に教えてくれたのは…

櫻井「智の店だから。つまりは、智のテリトリー内って事。もちろん俺はそこの奥にある智の部屋に住んではいる。けどそれは、智のプライベートの範疇であって、カウンター内のテリトリーはまた別の話。…智は俺のビジネスに口は絶対に出さない。だから、俺も同じ。カウンター内の智のビジネステリトリーには踏み込まない。それだけ♪」

そう言う事か。

プライベートとビジネスの違い。
『別に儲けるつもりでやってんじゃねぇのにさ(笑)』と、笑った大野さん。
対等で居たいと言う思いが伺えた。

何だか凄いなぁ…

相葉「でもさぁ。…翔ちゃんは社長でしょ?何となく、ちょっとそう言うのって変わって来ないの?気持ちとか、何かそう言うの」

大野「雅紀は?変わった?…社長の翔と今までの翔。何か違うと思う?」

相葉「んー……あんまり。同じな気はする」

大野「だろ(笑)?俺だって同じだよ。翔は翔だ。社長って肩書が付いただけの話で、本人、櫻井翔は何一つ変わってねぇから」

結局は、会社での呼び名が変わっただけの話で、本人たちの関係も雰囲気も何一つ変わらず今までと同じ。

櫻井さんがカウンターの中に居ない理由が分かってスッキリした。
同時に、改めてこの二人は凄いと感心した。


櫻井「…っつうかさぁ。結局二人は一緒に暮らしてんのか?」

「…え?」

突然聞かれて驚いたのは、まさか相葉さんがそこまでの話をしていたとは、思ってもいなかったから。
単なる僕たちの関係性が丸く収まりましたって報告をしただけだと思ってたのに、一緒に住むって事までとは…

櫻井「ほら。雅紀言ってたろ?この前。…一緒に暮らせば二宮さんのバイトも一つ減らせるかもしれないって」

え?
そんな事…考えての、あの提案だった?

バイトを続けてる理由までは話してない。
あの日僕の本当を打ち明けるので精一杯だったから、その上バイトを三つも掛け持ちしてる理由までは、重過ぎるだろうと思ったんだけど…

大野「あー…言ってたなぁ」

相葉「うん♪…めでたく一緒に居ますよ♪……でもねぇ、和くんバイト減らしてくんないんだよねぇ…」

今なら、もう…
話してしまっても大丈夫だろうか。
あの話以上に暗くて恐ろしい話はないだろうから。

僕は大きく息を吸い込んだ。

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