
貴方がいつもそこに居てくれたから…
第2章 弐
大野さんはそう言って、まるで自分の事みたいに苦しそうな顔をする。
櫻井「………何とか、なんねぇのかな?」
大野「まぁ。…素人の俺たちに出来る事なんか、知れてるしな?……だけどそのままっつっても…ズルズル払わされるんじゃねぇの?」
「……分かりません。でも、僕には…そうするしか…」
頼れる人なんて居ないから。
そう言った類いに強い人が、僕の知り合いには居ないんだ。
櫻井「………あ」
相葉「何?翔ちゃん、どうしたの?」
櫻井「ちょっとだけ時間くんねぇ?」
相葉「時間?」
大野「……あぁ。そっか。…翔、社長だったな♪」
櫻井「ふふ♪まぁ、一応(笑)?」
一応だなんて…
櫻井さんは立派な社長さんだと言うのに。
いや、そこじゃない。
時間をくれと言う櫻井さんは何を思い付いたんだろう。
大野さんはたったそれだけの言葉で理解出来た様だけど。
不思議に思って首を傾げたのは僕だけじゃなかった。
隣で相葉さんも同じ様に傾げてたけど、『翔ちゃんが何か思い付いたんなら大丈夫そうだね♪』なんてポジティブを発揮した。
相葉「…ただいまぁ♪」
「………お帰り、なさい」
相葉さんの夕飯が出来上がった頃、帰って来た彼と入れ替わる様に僕はバイトに出掛ける。
夜は少しだけ減らしたけど、完全に辞めるって事は出来ないから、今日もコンビニのバイトへ向かった。
一緒に住ませてはもらってるけど…
何だか家賃も払わないって気が引けて仕方ない。
でもこの話をしたって彼は気にしないでって笑うばっかりで。
あんまり言えば悲しそうな顔までするから、最近は言わない様にしてる。
相変わらずレジには立たない僕。
『二宮さん、ちょっとお願いします』
レジからそう言われて向かうと、日付の過ぎた商品がレジを通せないと言われ、慌てて代わりの商品と交換した。
「…すいませんでした」
『ありがとうございます』
彼もまた、バイトで。
高校生でつい先日入ったばかり。
入ったばかりの彼に自分より年上だから敬語はやめてほしいって笑われたけど、どうにも僕にはこれが癖で。
年下だろうと、下手すると子供にも敬語の時があるくらいなんだから、今更どうしようもない。
店長はそんな僕を褒めて可愛がってくれるから、ありがたいと思う。
僕にも褒められる部分があるんだって、ちょっと嬉しくなったっけ(笑)
