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貴方がいつもそこに居てくれたから…

第2章 弐


きっと人には何気ない普通の日常も、僕には幸せだと思える。
一日中バイトばかりでも。
僅かな時間、部屋に帰れば相葉さんが居て。
たったの一時間程度しか居られなくても、優しさと笑顔をくれる彼にホッとする。

必ず『行ってらっしゃい♪』って笑顔で言ってくれて、帰って来ても『お帰り♪』と笑ってくれる。

こんな僕が、こんな幸せな時間を過ごしていていいんだろうかって思う事が、一日のうちに一度はあるんだ。
だけどそれを考え始めてしまうと、どんどん堕ちてしまう。
バイトへの影響も出てくるから、なるべく考えない様にしてた。



久し振りに夜のコンビニが休みで、夕方には帰って来た僕は、もうそろそろ帰って来るだろう相葉さんの夕飯を作ってた。

何にも思い浮かばなかったから、久し振りにカレーを作る事にしたけど…

「………はい…」

櫻井『あ、二宮さん?…俺、櫻井です』

「…あ、どうも。こんばんわ」

櫻井『あのさ、ちょっと今から出て来れるかな?バイト、ある?』

「…え?あ、いえ。今日はコンビニ休みですけど…」

良かったと、電話の向こうで笑う櫻井さん。
本当に、申し訳ないけど…
せっかくの休みなのに…って、一瞬でも思ってしまった。
最低だ…
こんなに僕の事を心配してくれてるのに。

櫻井『ちなみにさ、雅紀には先に言ってあるから。…あー…まぁいいや、とりあえず会って話すわ(笑)』

そう言って待ち合わせ場所を指定される。
出来ればすぐ出て来てほしいって言われて、僕はまだもう少しカレーを煮込みたかったのを諦めガスを止めた。

少し急いで身支度をすると、マンションを出る。



櫻井さんとの待ち合わせ場所に着くと、軽い挨拶しただけですぐに彼の車に乗せられた。

櫻井「ごめんな?慌ただしくて。…何せ忙しい人だから時間なくて…」

「……えっ、…と…」

櫻井「あ、そっか。ごめんごめん。…知り合いに弁護士が居るんだ、俺。それで、二宮さんの事ちょっと相談してみた」

「……弁護士、さん……ですか」

櫻井「勝手にごめんな?雅紀に話したら『和くんが少しでも軽くなるなら!』って言うからさ」

そんな…
どうして、こんなにもこの人たちは優しいんだろう。
きっと相葉さんがそう言う人だからなんだ。

類は友を呼ぶ…

胸が熱くなって、込み上げた物を隠す様に俯く。
櫻井さんは僕の頭を撫でてくれた。

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