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貴方がいつもそこに居てくれたから…

第2章 弐


櫻井さんと成瀬 領さんは、大学の時知り合ったらしくて、二つ上の先輩らしい。
卒業後、弁護士になりよく耳にする事務所に所属してたと言う成瀬さん。
個人事務所として独立したのはほんの数年前。
櫻井さんの会社の顧問弁護士の方が、もうそろそろ引退したいって言う話から、今は成瀬さんがその席に就いてると教えてくれた。

櫻井「親父の代からの人だったけど、その人が成瀬さんを紹介してくれたんだよ」

「……そうなんですか」

成瀬「…まぁ……私としては、顧問弁護士なんて初めてだったので。初めは断ったんですけどね。…櫻井の会社だと知って、それなら…と(笑)」

「あの。……僕は…どうしたら?」

成瀬「…何も。……大丈夫です。後は私が全て進めて行きます。その都度、何かあればご報告もしますので、ご安心ください」

「ありがとうございます。…よろしくお願いします」

櫻井「良かった♪……成瀬さん、今日って予定あります?」

成瀬「………今日?…そりゃこれから二宮さんの件で調べ物をしたり書類を作ったりはするけど…」

櫻井「だったら明日からにして、今日はもう遅いですよ!飲みに行きません?」

僕の依頼を受けた成瀬さんはこれからやる事がたくさんあるはずなのに、櫻井さんは彼を誘ってる。
不思議に思うのと同時に、不安にもなる。
出来れば早く片付けてほしいと思うから。

そしたら、僕のバイトも減らせるし相葉さんとの時間も…///

そんな自分本意な思いが浮かんで、自分の事ながら呆れてしまった。

成瀬さんは何度か断ったものの、押しの強さに負けたらしく一緒に事務所を出る事になった。
何だか分かんないけど、後ろでぶつぶつと文句を言ってた気がする。


櫻井さんの車に乗り込んだ僕と成瀬さん。
少しだけ不満そうな成瀬さんが居た。

大野さんの店の前。
成瀬さんは、店に見えない外観の所為か不思議そうに首を傾げてる。
楽しそうに笑う櫻井さんが、店のドアを開けた。

櫻井「……ただいま♪」

暫くしてゆっくりと出て来た大野さんが『お帰り』と顔を見せると…

大野「……りょ、ぅ?」

成瀬「………さと…し?」

どうやら二人は知り合いだった様だ。

吃驚した僕と、大野さんと成瀬さん。
櫻井さん一人が、『やっぱりね♪』と楽しそうに笑ってて。

何が、やっぱりなのか…
店で知らされた、大野さんの過去で納得した。

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