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貴方がいつもそこに居てくれたから…

第4章 参


帰ってからも相葉さんは謝ってきたけど、もういいって何度も繰り返して、最終的にちょっと口調が強くなってしまった。
そんな僕に相葉さんは『しつこかったね?ごめん』って苦笑いする。


あれから、一度だけ成瀬さんから連絡が来た。

相手方と何度か会って話をしたらしい。
今はまだ決着してないけどバイトを減らしてもいいって言われてる。
支払いも一旦止めてくれてるから。

相葉「和くん?…大丈夫だよ♪翔ちゃんが雇ってる弁護士さんなんだから、ちゃんとしてくれるって。…ね?」

「はい。……ただ…成瀬さんに支払う報酬が心配で…僕なんかに支払えるんでしょうか」

そこだけが僕には気掛かりで。
成瀬さんにお願いした事に関しては特に心配も不安もない。
会った時の雰囲気と櫻井さんの彼への信頼感が、初めて会った人にも関わらず僕を安心させてくれた。
それに何よりも、大野さんが幼い頃に一緒に育ったと言う事も、僕には成瀬さんを信頼出来る要因だったから。

「成瀬さんの事は、特に心配してないんです。…やっぱり、こう言う…弁護士さんに依頼するって言う事は、それなりにお金が掛かるでしょうし…」

相葉「そっか。そうだよね。…でもさ、そこは高くても俺も手伝うよ♪大丈夫だって!」

「そんな事は!…僕の問題なのに、相葉さんに負担掛ける訳にはいかないですよ」

相葉「和くん………そんな、淋しい事言わないでよ…やっぱり…和くんはそう言うの…迷惑?かな?」

「迷惑なんかじゃないです!もちろん気持ちは凄く嬉しいですよ!…でもやっぱりお金ってなると、何となく…気が引けると言うか…申し訳ないですし、相葉さんに負担掛けたくないですし…」

何よりも、僕はお金絡みでこんなに辛く大変な思いをしてきたから。
一緒にこうして居られる事はとてつもなく幸せだけど、お金が絡む事で気まずくなったり揉めたりって事がちょっと怖い。

だからって、報酬が物凄く高かったらバイトしかしてない僕に払う事が出来るのか不安でもあって。

そんな僕が俯くと、ふわっと抱き締められた。

相葉「分かるよ?お金って、時には人を狂わせるって言うもんね?…でもさ。俺、和くんが少しでも軽くなるなら、何でもしてあげたいんだ。笑っててほしいから。俺の傍で、ずっと笑っててほしい」

相葉さんの腕の中は、本当に温かい。

泣きたくなるくらい、温かくて優しいと思った。

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