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貴方がいつもそこに居てくれたから…

第4章 参


満たされた日常に、戸惑いながら過ごしてきた一ヶ月。
いつでも相葉さんは僕が不安にならない様に、傍に居てくれて。
あり得ない程の優しさを、惜しみなく僕に注いでくれる。
僕自身も、相葉さんの想いに応えたいって想いがあるから、僕なりに照れや恥ずかしさを堪えながらも言葉や態度で伝える様にして来た。

そんなある夜。

相葉さんの帰りを夕飯を作りながら待ってて。
何でも美味しいって喜んでくれる相葉さんに、僕はこの日何にも思い付かずカレーライスを作っていた。

煮込み始めた頃、滅多に鳴らない携帯が鳴った。

もしかしたら相葉さんは残業で遅くなるのかもしれないと、慌てて携帯を手に通話を押す。

「…はい」

櫻井『二宮さん?ごめん、ちょっとさ…今日雅紀の帰り遅くなるんだけど…』

やっぱり。
出来上がったのが…って言うか、今夜作ったのがカレーライスで良かった。
余っても明日また食べられるから。

「そうですか。分かりました。…わざわざありがとうございます」

櫻井『いや、それはいいんだけど……もし暇なら智んとこ行ってみたらどうかな?…久々に潤も来るらしいし』

そう言われて、暫く会ってないなぁと思ったから『そうですね』と返しておいた。

電話を切ってから、僕は櫻井さんの声の雰囲気に違和感があった気がして首を傾げた。
何かあったんだろうか。
そんな風に思い始めたらどんどん不安になってくる。

僕は出来たカレーライスの鍋に蓋をして、鍋ごと冷蔵庫へ突っ込むとすぐに大野さんの店へと向かった。



智「……いらっしゃい(笑)」

「…こんばんわ。…あの…」

智「どうぞ?…翔から電話で聞いてる」

「…?…やっぱり、何か…あったんですか?」

『とりあえず、入れ(笑)』と言われて店の中へ。

まだ潤くんは来ていなかった。
奥に年配のお客さんが一人居る。

カウンターに座る僕にビールを出してくれた。

「ありがとうございます」

大野さんは何故か分かんないけど苦笑いしてる。
何故?
そんな顔されたら益々不安になるんですけど…

まさか。
相葉さん…
好きな人が他に出来てしまった…とか…言わない、よね?
だとしたら、僕はどうする事も出来ない。

だって、僕には…
相葉さんを引き止める様な何かがある訳じゃないんだから。

でも少し前、相葉さんは言ってくれた。

僕に…
笑っててほしいって。

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