
貴方がいつもそこに居てくれたから…
第4章 参
分からないけど、何だか大野さんは怒ってる様で。
櫻井さんに電話をしてるらしいんだけど口調が荒っぽいから怒ってるで合ってると思う。
大野「悪いな?…とりあえず一時間くらいで帰って来るって言うから。心配ないよ」
そう言ってくれた。
でも僕的には何だか申し訳ない気がする。
櫻井さんの立場を考えたら、そんな無下にも出来ないはずだし…
上手い事断るとは言っててももしかしたら相葉さんはお相手を気に入らないとも限らないだろうし…
今まで生きて来た中でこんなに人を好きになった事はないと思う。
だから今、凄く複雑な想いに戸惑うのと同時に息苦しくもあって。
万が一相葉さんが離れてしまったら…
僕はどうなるんだろう…
大野「……泣くな。大丈夫」
気付けば泣いていた。
大野さんが優しく頭を撫でてくれて初めて気付いた。
今更、僕は相葉さんを失うなんて無理なんだ、きっと。
相葉「……和くん!」
本当に一時間程で帰って来た櫻井さんと相葉さん。
物凄い勢いで僕を抱き締めてくれた。
温かい…
勢い良すぎてちょっと痛くて苦しかったけど…
やっぱり相葉さんの腕の中は安心した。
相葉「ごめんね?和くん。…ちゃんとお断りしてきたからね?大丈夫だよ?」
「……はい。…でも……大丈夫、なんですか?」
相葉「何が?」
「櫻井さん。…立場とか会社の事とか……僕の所為で迷惑…」
相葉「大丈夫♪翔ちゃんはそんな柔な人じゃないから!」
そう言って更にギュッと抱き締められる。
この日程、純粋に素直に相葉さんにされるがままな自分は居ないかも…って思った。
だけどそんな僕を相葉さんが嬉しそうに笑ってるから。
櫻井「……ごめんね?二宮さん。…本当に、申し訳ない」
そう頭を下げられて、僕は慌てて首を振る。
相葉さんが離してくれないからそれ以上何も出来ないけど、『僕こそすいません!』って何とか伝えられた。
大野「案外……見合いするって聞かされたら、ムカつくもんだぞ?」
呟く様に言った大野さんの言葉は、正に経験者は語るってやつで。
『あったね!翔ちゃんのお見合い事件!』って相葉さんが抱き締めたままそう言った。
ちょっと懐かしい、櫻井さんの入院中に起こったお見合い事件…
結局あの後お見合いが行われたのか、僕は知らない。
相葉さんも何も言ってなかったから、真相は知らないんだと思う。
