
貴方がいつもそこに居てくれたから…
第7章 五
どうやら慰安旅行で三日も空けるって事に気が引けるらしい。
そりゃ確かに三日も会えないって事が彼と付き合い始めてからは初めての事だから、淋しくない訳はないんだけど…
会社の行事なら仕方ないとも思う。
相葉「本当に?…和くん本当に淋しいって思う?」
「そりゃ、思いますよ///…だけど、慰安旅行なんですよね?それなら仕方ない、じゃないですか」
きっと。
本人が淋しいんだと思った。
まさかとは思うけど、櫻井さんに行きたくないなんて無茶な事、言ってない…よね?
そう思ってたら、"翔ちゃんに怒られちゃってさ(笑)"と笑う相葉さんは、案の定行きたくないってちょっと溢したらしい。
そりゃそんな理由なら怒られもすると思う。
いくら任意的な行事とは言え、仮にも会社の行事なんだから。
相葉さんの慰安旅行まで後二日。
出掛ける日、彼がすんなり出掛けてくれればいいけど…
きっと土壇場でまた駄々を捏ねる様な気がしてならない。
それでもほんの少しそれを嬉しいなんて思ってる自分が居るから、呆れてしまった。
相葉「和くん。何かあったら電話してね?」
「はい(笑)」
土曜の朝、それを言われたのはこれで何度目だろう(笑)
だけど笑っちゃ悪いし軽くあしらえば機嫌を損ねてまた行かないって言い出し兼ねないから笑顔を向ける。
「気を付けて行ってきてくださいね?…帰り、待ってます」
相葉「あー!行きたくない!」
そう言って抱き締められて、逆効果だったと結果ちょっと笑ってしまった。
ギリギリまでそんな状態だった相葉さんが出掛けて行って。
昼間一人なのは、バイトが休みの日ならよくあった事なのに。
帰って来ないんだと思うだけで途端に淋しさを感じる。
今日はまだバイトに行かなきゃならないから、気が紛れるけど。
『すいません』
「…はい?」
バイト中、野菜を棚に並べていた僕は声を掛けられて振り向いた。
見た事のない男性が居て、何か探してるんだと思いながら…
「何か?」
『……ちょっと、お話があるんですけど』
…え?
話?
僕に?
何だか、ちょっと、怖い。
成瀬さんは全部綺麗に片付いたって言ってくれた。
相手の人たちが理不尽に僕の所に来て責める事のない様にって、かなりの譲歩もしたって聞いてる。
違う、よね?
そっちの人たちじゃないよね?
ポケットの携帯を握り締めた。
