
貴方がいつもそこに居てくれたから…
第7章 五
何度も何度も頭を下げられて、嫌だなんて言えない。
だってちゃんと相葉さんの事は言えなくても、ちゃんと相手が居るって事は伝えたにも関わらず、会ってやってほしいなんて言われたら…
この人自身は断っても構わないって言ってるんだし、聞くだけならって思ってしまったから。
バイトが終わる時間を教えたら、その一時間後に近くの喫茶店で待ってると言われた。
この人も来るんだろうか。
分かんないしどっちでもいいけど…
大野『……はい』
「ぁ、大野さん?……僕、二宮です、けど…」
休憩時間に、僕は大野さんに相談する事にした。
電話を掛けたらすぐに出てくれた大野さん。
大野『ニノ?どうした?』
「ちょっと…ご相談が…」
さっきの事を、細かく分かりやすく説明して。
"…どうしたら、いいでしょう"って言ったら、暫し無言の大野さんに不安が募った。
大野『どうしたらも何も。…会う事にしちゃったんだろ?』
「………はい」
大野『なら仕方ないだろ。…聞くだけ聞いて断るしかねぇよ。ニノがその子に興味ないならな?』
「ないですよ!僕は相葉さん以外に何の感情も…」
大野『ははは(笑)だったらその男と話してる時点で断るべきだったよな?…キツい言い方かもしんねぇけど』
「……そう、ですよね…」
大野『まぁ。……不安なら、一緒に行ってやってもいいけど?』
どうしよう…
申し訳ない。
でも一人で行くのも、かなり不安だ。
大野『ふふ(笑)心配すんなって。雅紀にニノの事頼むって言われてっから(笑)』
「……え?」
大野『今朝電話来たんだよ。…翔と話してたのに携帯奪われたみたいで、"和くんの事頼むね!"って何回も言われたよ(笑)』
相葉さん…
嬉しい。
…けど、ちょっと複雑かも。
僕を一人にしておくって事に不安を感じてるって事だよね?
安心して旅行を楽しめないのかもしれないと思うと、申し訳なくなる。
大野『とりあえず、バイト終わったら店に来い。話はそれからだ。…ほら休憩終わっちまうぞ(笑)?』
そう言って笑った大野さんに何度かお礼を言って電話を切った。
本当にどうしてこんなに優しいんだろう。
離れていても、温かくなる。
相葉さんの想いが温かくて優しくて、ちょっと泣きそう。
大野さんも、そう。
いくら頼むって言われてもこんな面倒な事、普通なら断ってもいいと思うのに…
