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貴方がいつもそこに居てくれたから…

第7章 五


意味が分かんない。
付き合ってる人居るって言ってるのに、自分でもいいでしょうって、どう言う事?

『その人知らないけどぉ…そっちと別れて亜美と付き合ってほしい♪』

「………」

大野「なぁ。…あんた、頭悪いの?」

『はぁ?』

大野「彼女持ちに告白してそっちと別れて自分と付き合え?どんな神経してんだよ。…和、帰るぞ?」

「ぇ?…あ、ちょっ…」

『何なのよ!お兄さんか何か知らないけど関係なくない?』

大野「あのな。和は彼女が居る。もう俺ら家族全員が知ってて多分結婚すんだろって話もしてる。…だからあんたがどうこう言ったって無駄なんだよ」

ヤバい…
大野さんが、キレそう。

"そもそも今さっき会った得体の知れない女と、何年も付き合って来た彼女捨ててまで付き合う訳ねぇだろ"って、冷たくも低い声。

これ以上は、ヤバいと思う。
滅多に怒らない大野さんが、とてつもなく冷たい空気を纏ってるのが隣に居てビシビシ伝わった。

「と、とりあえず。…そう言う事だから。ごめんね?僕は彼女以外に付き合うとかないし、別れるって事も考えられないんだ。考えた事もないし」

『好きなんですよ!亜美、二宮さんの事好きになったんです!』

「うん、ありがとう。その気持ちはありがとう。嬉しいとは思う。…けど僕があなたを好きになる事はないんだ。…彼女が大好きだから。だから、本当にごめんなさい」

頭を下げたら、向かいの彼女が泣き出してしまった。
大野さんの溜め息が聞こえて、小さく"ごめんなさい"と呟く。
困った様に眉を垂らした大野さんが、頭を撫でてくれた。

大野「なぁ。あんたの気持ちも分かるけどさ。…人の幸せ壊してまで和を自分の物にしたところで、あんたは幸せになれんの?」

『……だって…』

大野「分かるよ?本当に和を好きだって言うならな?けど違うんじゃねぇ?顔がタイプとかそんなとこだろ?あんたが和の何を知ってる?性格、好きな物だったり事だったりをあんたは知らないだろ」

急に、優しい声になった大野さんが彼女を諭す様に話し始めた。

今会ったばっかの相手を好きだって言っても信憑性はないと思うと。
一目惚れって物を知らないけど、そんな理由で付き合う人ももちろん居るだろうって言った大野さん。
だけど、一目惚れしたにしても相手を知ってから、それでも好きだって思うから告白するんじゃないかと言う。

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