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I'm In Love With The HERO

第4章 Haunted【黒桃】




「待ってください!!」

痛む体に顔を歪めながらある人物を追いかける。
呼びかけても人物はわざとなのか歩くスピードを緩めない。
またきっと誤解してる。何としてでも説明して分かってもらわなきゃ。

「真墨っ!」

名前を叫ぶとある人物…真墨はやっと歩みを止めた。

「真墨、あの、」
「何だよ。明石と楽しそうにお喋りしてたのに。良かったのか?」
「違います!誤解なんです!」

意地の悪い言い方を真に受け、さくらは必死に弁解する。

「最近、体力が落ちてきてるって指摘されて…。」
「…俺のせいってか。」
「違います!真墨、聞いてください…」

真墨は振り向くとさくらを壁に押し付けた。

「んっ!」

そして桃色のジャケットのファスナーを下げ、白いインナーを捲った。
さくらの腹は無数の痣が残されていた。

「…!」

突然の出来事に言葉が出ないさくら。

「これを見せつけりゃ良かったんじゃないか?」
「そんなこと…出来ません…」
「何でだ?愛しのチーフ様に引かれるからか?」

-違う。あなたの立場がなくなってしまうから。

「体力が落ちてきた?そんなの俺が補う…姐さんはもうミッションに出なくたっていい。」
「それは駄目です!私だってボウケンジャーの一員、サブチーフです!」
「俺じゃ頼りないってか?」
「違います!そんなこと一言も言ってません!」

-どうして私の気持ちが通じないの。

突然、首を絞められた。反射的に絞められている手を掴む。

「ん…んぅ…!」

息ができず、苦しい。

「じゃあ!!もう一切、明石とは話すなよ。話しかけられても無視しろ。…いいな?」

無理難題な要求にさくらは必死にこくりこくりと頷く。
それでも真墨は締める手を緩めない。

「本当かよ!?そんなこと言ってもまだ明石のこと好きなんだろ!?」

違う。と否定したいのに声が出ない。

「どうしたら…俺の気持ちが伝わるんだよ…。」




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