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I'm In Love With The HERO

第1章 夜空ノムコウ【黒桃】





しばらくいつ起きるかと眠っている真墨を見つめていたとき、瞼がピクリと動き、ゆっくりと開いた。

「ふぁ~…何時だ?今。」
「夜の10時です。」
「嘘だろ!?ってさくら姐さん!?」

さくらの姿を確認し、真墨は飛び起きた。
よりによってさくらに見られてしまい、これはまずいと思ったが自分の焦りとは裏腹にさくらはとても穏やかだ。

「感心、しませんねぇ。」

先ほど言った言葉を次は真墨の瞳を真っ直ぐ見つめながら口にする。

「いやぁ、その、最近忙しいだろ?だからさぁ…。」

冷や汗をかきながら必死に弁解する真墨にさくらは耐えきれなくなり吹き出した。

「え、さくら姐さん?」

怒られるのをを想定していたのでこのリアクションにはびっくりした。それに微笑む程度なら日常的に見られるようになったがここまで上機嫌に笑うさくらは滅多に見たことがなく、真墨は呆気に取られた。

「怒ってませんよ。」
「何だよぉ…。」

まだ笑顔が絶えないさくらに釣られ、真墨も笑った。

「もう帰った方がいいんじゃないですか?」

そういえば、と。さくらが時計を見る。

「姐さんは?」
「私はまだ仕事が残っているので…。」
「そうか…。」

真墨は呟くと立ち上がった。

「姐さんが帰るまでいるわ。」
「え、何でですか?」
「何となく。」

そのまま下へと降りていく真墨に慌てて付いていく。
そして真墨は椅子へ座ると頬杖をついた。
どうやらさくらの仕事を見届けるつもりらしい。

「…手伝ってはくれないんですね。」

知ってました。ため息をつくと椅子に座り仕事を再開した。




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