テキストサイズ

ぱられるわーるど 〜fromはっぴぃえんど⁈〜

第3章 きせき〜軌跡❶〜

*Mside*

翔の気持ちを尊重してあげたい。でも、翔の体の事も考えてしまう。

「これからも、こういうことがあるんでしょうか?」

医師「赤ちゃんが大きくなれば、子宮も大きくなっていくので、多少の痛みはこれからもあると思います」

それにと先生が続けた。

医師「以前にも説明したと思いますが、女性と違って、どのような時にどんな症状が出てくるのか予測できない部分が多くあります。もしかしたら、母体と赤ちゃんを選ばなくてはならない時が来るかもしれません。覚悟はありますか?」

頷く翔を見て、一呼吸置いてから、話を続ける先生。

医師「産むと決めたら、私は最善を尽くしていきます。でも、もしもの時にどうするか、話し合っていただいてもよろしいでしょうか?」

“もしもの時”か…。
そんな時が来るかもしれないなんて想像したくないけど…。

「…わかりました」

医師「では体調が落ち着いていれば、入院しなくても大丈夫ですので。これで失礼します」

翔「先生、待って下さい。もしもの時は、赤ちゃんを優先して下さい」

「ちょっと、翔?」

翔「お願いします」

まだ話し合ってもいないのに結論を出すなよ、と思ったけどあまりにも真剣な翔の眼差しに、俺も覚悟を決める事にした。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ