後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第8章 淫らなアフターワーク
え……
「なに……!?」
今の音──
入り口の扉──鍵が、開いた?
「……っ」
続いて扉がゆっくりと開いたのが、直接は見えないが音だけでわかった。
誰かが帰ってきたの?
バイトくんは鍵を持っていない。持っているのは私と藤堂さんと、穂花と、そして…
“ でも、こんな時間にどうして…… ”
とっくに日付をまたいだ後だ。
忘れ物を取りに来たとしたら、おかしな時間。
ゴクッ..
私は入り口の廊下に向かって身構えた。
カッターを握る右手に思わず力がはいるのも仕方がない。
足音が部屋へと近付いて──
「──…ッ」
「…なんて顔をなさっているんですか、先輩」
壁からひょっこり出てきた見知った顔を見て
その緊張感は瞬時にいなくなった。