後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第10章 それだけの関係
「パパ!ママ~!」
突然、後ろの部屋から現れた男の子が、座る私の足に突進してきた。
「ママ…?」
改めて私を見上げて母親でないことに気が付くと、途端にその声は不安げになる。
この夫婦のひとり息子だ。
歳はたしか二歳だったかな…。
「お母さんは向こうよ」
「オ…バサン、だれ?」
おばさん…!
ま、まぁ、そう呼ばれる歳でもあるのか。
少し戸惑った私だけど、この子からしたら確かに私はおばさんだ。
事実、第二子を身ごもっている目の前の彼女は二十九歳──つまり私と同い年。
母親と同じ歳の女をお姉さんとは思わないだろうから。
仕方ないけど
やっぱり複雑ね…。
「あら、向こうのお部屋で遊んでたのに…っ」
「ママ!だっこ!」
「今はダメよー。ごめんね」
「だっこ~」
すぐに私から離れた男の子は、今度は母親の脚に抱き付いていた。