後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第10章 それだけの関係
「もうちょっと、ね? もうすこーし、お利口さんで待ってようね?」
「えーー」
「もし、お利口さんができたら…」
打ち合わせに乱入してきた男の子に手を焼く彼女。
だがそこは親らしく、上手く子供を言いくるめていた。
「もう少し待てたら、あとでパパがお馬さんごっこをしてくれまーす!」
「ええっ、ほんとーに?」
「ほんとうに!」
「ぼく……ま、つ」
流石だ。
瞬時にせがむのをやめて部屋に戻った男の子の、バタバターと忙しない後ろ姿を見送る。
子供だけに許される純真さ──
それが可愛らしいから、自然と頬が緩んだ。
「相変わらず元気な子ですね」
「わんぱくすぎて手を焼いてるんですよ…ふふ」
私と同い年の彼女は、そう言って母親の顔をした。