後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第11章 かつての男
「今日は休みか…?」
「施主との打ち合わせで外に出てるだけよ。今から事務所に戻るわ」
「そ…そうだよな。お前が平日のこんな時間に遊んでるわけねぇよ…──ッ」
「その通りだけど…。…啓輔は?営業回り?」
「そーそー」
ならお互いに仕事中だ。
久しぶりだからって立ち話に興じている暇なんてない、って──わかってはいるのに。
「それじゃあ…」
「待てよ、季里」
「なに…っ…?」
立ち去ろうとした私は呼び止められる。
やっぱりおかしい。
この気まずい空気を…彼は何とも思っていないのかしら?
「俺たち、さ──…」
「季里さん」