後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第11章 かつての男
「どう思う?」
「そうですね…僕が考えるに」
事務所の真ん中のテーブル。
「施設と駐車場をゾーン分けするのでなく、一体的に作るのもありかと」
そこに置かれた模型を中心に向かい合う。
それは以前に葉川くんが完成させた敷地模型だ。
そして
集中して話している私たち二人を…定時になって帰ろうとする穂花が眺めていた。
私は気付いていないから淡々と話を進める。
「今回は敷地が細長いから、駐車スペースは東側に寄せてしまったほうがいいかと思っていたわ」
「確かにそれが順当ですが…」
「でも、ええ…そうね。君の言うように検討してみるべきかもしれない。ありがとう」
葉川くんの意見は納得できるので、自分のアイデア帳に書き留めておく。
……ん?
この視線は
「穂花?なに?」
「いやあ…何でもないですけど♪」
「…?」
鞄を肩にかけてまさに帰る直前の穂花は、大げさに首を振ってみせた。
何でもない…とか言いつつ
ササーっと私に近づいてきて、顔を寄せてくる。