テキストサイズ

後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~

第11章 かつての男



「ただ…二人が仲直りしたみたいで安心しました♪ここのところの季里さんは、ずっと葉川くんに対してピリピリしてたので」

「……!」


葉川くんには聞こえないように口元に手を添えて、私の耳にこそっと囁く。

何よそれ?


「ちょッ…穂花!?」

「じゃあお疲れさまでーす!」


ぎょっとした私が言い返そうとしたのを察知したのか、穂花は言いたいことだけ言って離れていった。

いつもの元気な挨拶とともに事務所のドアを出ていく。




「…佐々並さんに何を言われたんですか?」

「…っ…き、君に教えるほどでもないわ」


真面目に設計を考えていたのに、穂花のせいで何を話していたのか忘れてしまった。

穂花にあんなこと言われるなんて…!

べつに今の私は、葉川くんに親しく接しているつもりはない。

仲直り?

打ち合わせ前の、車内で私が彼を犯したあの行為を仲直りと言うなら──確かに、それで許すという約束だったけれど。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ