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後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~

第11章 かつての男


それに柄にもなく反省しているらしい葉川くんは、事務所に戻ってからいつものふざけた冗談を控えている。

『 僕は先輩に嫌われたくありません 』

理由は私に嫌われたくないから──


“ って、なに気持ち悪い想像してるのよ私は ”


そのお陰で私は葉川くんにいちいちイラつかずにすんでいる。

どういうつもりで彼が態度を変えたのかは不明だとしてもね。



「──…先輩、聞いていますか」

「え…?」


いけない。穂花に言われたことに気をとられていたせいで、葉川くんの言葉を聞き逃してしまった。

コンペについての話に違いないそれに対して、上の空だった私は慌てて謝った。


「ごめんなさい、もう一度お願い」

「……」

「葉川くん…?」


テーブルに片手をついて、もう片方の手で敷地の東側を指している葉川くんは

聞き返した私にふわりと微笑んだ。


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