後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第12章 変われない
「私が中身のつまらない女だって知っておきながら…それでも、告白してきたのは…」
去年の十二月。クリスマスの四日前。
建築家のシンポジウムで偶然 再会した私に、その日の夜に告白してきたのは──
「クリスマスの相手にちょうどよかったから。それだけの理由でしょう?」
そして付き合っているうちに嫌気がさして、私をフった。
「なんでそうなるんだよ…ッ」
「中学の時に私と別れた男は、あなたの親友だったわよね。だったら彼から聞いていた筈よ──私が、面白味のない女だってことを」
「……っ」
「それでも構わないと思ったんでしょう?身体だけでいいって」
「そんなんじゃない」
「セフレ扱いと──大差ないわ」
アルコールのせいでうまく呂律( ロレツ )が回らないくせに、よくもまぁ次から次へと嫌味が出てくるものだ。
これが女の八つ当たりか…
自分で自分が手に負えない。
目の前の啓輔がテーブルの端を掴んでうち震えているのも、おおいに共感できる。
同情すらしてしまう。
本当なら葉川くんにぶつけなければいけない感情なのに、私が啓輔の優しさに甘えてしまっているから。