後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第12章 変われない
ガタン…っ
啓輔は腰をあげて身を乗り出した。
テーブルをはさんだ私に手を伸ばして、片腕を掴む。
「…っ」
腕を引かれて尻が座敷から離れた私は
不安定な身体を支えるため、咄嗟にテーブルに手をついた。
指が引っ掛かって小皿がはねる。
私の腰がテーブルの縁にぶつかり、グラスの中の氷が振動で暴れる。
「啓輔…」
「ふッ──…ざけるなよ、季里…!」
腕に続いて肩も掴まれて、鼻がつくほどの距離に啓輔の顔が迫った時──彼が私にキスをしようとしているのがわかった。
私は顔を伏せた。
彼は逃げる私の唇を追いかけて何度か強引に迫ってきたけれど
私が首をひねってそれらをかわし続けるうちに、ようやく諦めた。
「…っ…ハァ…」
「離して……」
「季里、お前っ…!勘違いするなよ」
「……?」
憤りの表情。
ただその理由が、私の勝手な予想とは違ったみたいだった。