後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第3章 たらしな新人くん
私達は壁沿いに各々のデスクを持ち、話し合う時は中央のテーブルを使う。
真ん中のテーブルは普段から整理されているが、壁沿いのデスクたちのほとんどが物置状態。
入社早々…自分の席が資材置き場だなんて可哀想よね。
私は大量のスタディ模型をとりあえず真ん中に移動させた。応急措置だ。
「穂花、彼に飲み物をお願いできる?それと藤堂さんはホウキとちり取りを持ってきてください」
「了解ですっ」
「俺がか?…まぁ、いいが…っ」
さりげなく二人を使ってしまったが、よしとしよう。
二人がそれぞれ部屋を離れたのに合わせて、ようやく新人くんは中に入ってきた。
デスクを片付ける私の横に立ち、手伝い始める。
「僕のためにありがとうございます」
「気にしないで」
礼を言われたけど、私は顔を合わせなかった。