後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第3章 たらしな新人くん
「僕の目を見ながら……」
「……」
「……いって、ください」
この男
声色を低くした──わざとなの?
「手を、離しなさい」
さっきは離したのに
「…何故ですか?」
絡めた指に遠慮がない。
らちが明かない。私は強引に手を引いた。
…おかげで図面にシワが入った。
「──ほら、ホウキとちり取りだ。ちり取りは小さいがこれしかなかった」
「…っ…藤堂さん」
ここで藤堂さんが戻ってくる。
実にベストなタイミングだった。
あと少し遅かったら…私はこの新人に、何を毒づいていたことかわかったものじゃない。