後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第3章 たらしな新人くん
穂花がマグカップに珈琲を淹れてキッチンから戻ってきたのは、それからすぐだった。頼んでないのに四人分。
私の掃除も同じタイミングで終わり、パソコンを置いても余裕があるくらいのスペースができた。
「葉川くんは砂糖入れる派~?」
「僕はいつもブラックです」
「そんな気がするっ。甘いの苦手そうだもん」
「…好きですよ。パソコン作業で疲れたときはチョコレートを食べますし」
「そうなんだ意外!」
いつもは打ち合わせや会議をするテーブルで、珈琲を手に座る四人。
私は食後に珈琲を飲んだばかりだけど、細かいことは気にしないようにしよう。
ただ今はカフェインよりもアルコールを入れたい気分だわ。
「なら今度から、デスクにチョコレートを常備しようかな。ご自由にお取りください~ってやつ」
愛想のない私の代わりに穂花がたくさん喋ってくれるから、それは楽で助かっている。