後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第3章 たらしな新人くん
「それは有り難いですね」
ニコっ
“ あ、また ”
この事務所に来ての第一声『 こんにちは 』の時と同じ笑顔。
貼り付けたような完璧な笑み。
…でも何故かしらね。裏の顔が滲み出てるわ。
隣で穂花のテンションが急上昇なのを感じつつ、私は冷めた目を送っていた。
「ところで葉川くんって女の子にモテモテじゃない? 彼女さんはもちろんいるわよね?」
ちょ、穂花、何を聞いてるの。
その図々しさ…すっかりオバサンじゃない。
「おお、それは俺も気になるな~」
四十過ぎたオジサンまで興味だして…。
「いませんよ」
君まで、律儀に答えなくていいのよ。
──て、ふぅん
いないの? それは意外ね。
「いるにはいましたが遠距離だと意味がないので、大学院卒業に合わせて別れてきました。お互いに身体目的の浅い繋がりでしたし」
「……」
「……」
「……」
これを胸張って言えるあたり…
とんだ曲者ね。