後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第15章 ドレスコード
「私は藤堂さんのパートナーとして来ているんです。付き添いの保護者じゃないですからね」
「そうは言ってもな。立花も普段と雰囲気が違いすぎて、よけいに緊張するんだ」
「…私のせいですか」
おかしな事を言う。
間違ってもスーツで来るなと釘をさしてきたのは藤堂さんなのに。
確かに今の私は仕事着じゃない。
無地で黒色のワンピースドレス。
膝丈のタイトスカート。袖はノースリーブで、ハイネックの首元には光沢が少ないパールのネックレスを付けておいた。
事前にここのレストランのドレスコードを調べた上での、この服装なのだ。
文句がありますか。
「ドレスが似合わない自覚はありますから、今度からこういう場に連れてこないでくださいね」
「そこまでは言っていないが…っ」
「フン…(怒)」
私があからさまに不機嫌な顔をしてみたら、目の前で藤堂さんがおどおどしている。
藤堂さんっていい大人の癖に…相変わらず他人への気遣いが下手なのよね。
だから未だに独身なのよと、自分のことは棚にあげて毒づいてみる。