後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第16章 汗と横顔
それならばと、私は彼に任せることにした。
藤堂さんは、葉川くんが自分から走りたいと名乗り出たことを喜んでいた。楽観男め。
“ ヘンなところで意固地になるんだから ”
また…葉川くんの意外な一面に触れてしまったわね。
『 僕も男なので 』
男というより、むしろ男の子?
頼もしさを感じる前に可愛いなと思ってしまう。
「君に任せるわね。…ちゃんと応援するわ」
「先輩の応援がもらえるなら…──たまには、スポーツもいいですね」
「……そうかもね。暑い、けど」
私は首にかけていたタオルを取って手を伸ばした。
それを使って葉川くんの額の汗を拭いて
額に張り付いていた前髪を横に流してやる。