後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第19章 優先席は彼の席
「だって全然隠せてないですもん」
「私たちっ……別に、事務所でいちゃついてなんかないでしょ?」
「季里さんはツンツン対応続行中ですけど…葉川くんのほうが」
「葉川くんのほうが…!?」
「葉川くんの態度があからさまに変わりましたもん! 先々週のリレーマラソンの日からでしょうか? 季里さんに話しかける時の表情から『俺の女』感がダダモレてます♪」
俺の女?
何それ。まるっきり自覚がなかったわ。
第一に、 葉川くんの一人称は俺じゃなくて『僕』なんだけど…っ──て、そんな事はどうでもいい。
ブブ...ッ
「──?」
「あ♪ 噂をすれば…?」
ちょうどその時スマホがLINEの通知をし、穂花がにんまりと笑う。
画面を見ると偶然にも、差し出しには噂の葉川くんだった。
穂花ったら恋愛が絡むとエスパーだったのね。
私はスマホの画面と彼女を交互に見比べてから、諦めてLINEを開いた。