後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第19章 優先席は彼の席
「せっかくなので先輩と同じものを食べたいです」
私の両手に手を重ねて、メニューをパタンと閉じた葉川くん。
彼はそれを横に立て掛けて
例の黒フレームの眼鏡を掛け直すふりをしながら、少しだけ俯いた。
「もしかしたら僕を優先してくれるかもという淡い期待を持って……先輩を誘ってみましたが」
「──…」
「まさか本当に応じてもらえると思っていなかったので…、今は、それだけで満足ですし」
だからと言って
私に合わせてサラダランチを頼む理由にはなっていないのだけれど。
ランチに誘う。たったそれだけの事。
葉川くんほどの(女慣れした)男となれば朝の挨拶と同じくらい気軽なイベントだろうに、こういう反応をされてしまうのは…
“ またやられた… ”
可愛い。
「ハァ…」
悔しいけど可愛いわ。